火災現場での消火活動

テレビのニュースでは、時々、不幸なことに家が焼けて茫然自失、周囲の住民避難勧告、消防士が懸命に火を消しているなどの映像がちょくちょく見受けられます。

 

自分の家が燃えるだなんて想像したくもありませんが、可能性がないとも言えません。

 

今回は、そんな時のための火災保険のお話。

 

建物が火災や水災、落雷、衝突などで被害にあったときに補償してくれるのが『火災保険』です。
しかしながら火災保険は、建物への損害に対して補償してくれる保険であって、家の中にあるテレビやパソコン、洋服タンス、冷蔵庫、洗濯機、洋服、アクセサリーなどの家財が同様の損害にあってもこの分は補償はしてくれません。

 

「一緒に保証してくれよぉ」と思うかもしれませんが、なかなかそうはいかず、それら家財を補償対象にするためには、

 

火災保険とは別に”家財を保険の対象として契約しておく必要があります”

 

それが『家財保険』になります。

 

それでは、家財保険は必要なのかを見極めるために、どのようなときに役立つのか、また保険金額の目安や保険料はどのくらいになるのかについて取り上げてみましたのでぜひご覧くださいませ。

 

※「家財保険」という商品名では保険会社は販売していません。「家財を目的とした火災保険」が該当します。ただし、このページでは説明しやすいように「家財保険」として表記しています。

 

賃貸マンション・アパートの家財保険記事こちらの賃貸の家財保険とは?保険料の目安は?をご覧ください。


家財保険は必要なの?

どうなんだい、ということで話をして参りましょう。

 

そもそも、家財保険は日常の火災でどのよう場合に必要なのかを知っておくべきでしょう。

 

そこでまずは、出火原因の統計を調べてみましたのでご覧ください。

 

建物火災の出火原因からみてみる

まず建物火災の出火原因の発生状況を消防庁のホームページから調べてみました。
爆発を除く建物火災18,163件のうち、多い順番では以下のとおりです。

 

  • こんろ2,981件16.4%
  • たばこ2,074件11.4%
  • 放 火1,674件9.2%
  • 放火の疑い1,245件6.9%
  • ストーブ1,196件6.6%
  • 火あそび625件3.4%
  • たき火507件2.8%
  • 電灯・電話等の配線463件2.5%
  • 風呂かまど360件2.0%
  • 配線器具310件1.7%
  • マッチ・ライター303件1.7%
  • 電気機器297件1.6%
  • 溶接機・切断機275件1.5%
  • 灯 火251件1.4%
  • 焼却炉245件1.3%
  • その他2,881件15.9%
  • 不明・調査中2,476件13.6%

 

出火原因の1位はコンロなんですね!

 

主婦主夫の皆様くれぐれもお気をつけください……ということなのでしょうが、数を見ると「何してたんだろう」と考えたくなりますよね。火から目を離しちゃダメ、絶対。

 

さて上記の中で、建物外部から燃えていく原因としては、「放火や放火の疑い、たき火等になり、合計約19%」ほどあります。物騒ですが、現実にあり得る話ですね。これらは消火が早ければ家財にはさほど被害が及ばない場合には、家財保険は役立たないかもしれません,

 

よって”家財保険は必要ない”と判断できます。

 

しかし、それら以外である「こんろ、たばこ、ストーブ、電灯・電話等の配線等の火災原因」は合計約37%ありますが、これらは建物の中から火災が起こるわけです。

 

このような建物の中からの火災は、消火が早く、建物自体に広がらない場合においては、建物の損害額よりも、家財の”損害額が大きくなる傾向”にあります。

 

また、消火のために駆け付けた消防署や消防団は火災が初期の段階では放水を建物の中にします。放水は広範囲に行いますので焼けて家財が使えないだけでなく、水びたしで、カーテンや洋服、スーツ、コート、テレビ、パソコン、プリンター、布団、ベッド、カーペット、温風ストーブ、書籍など使えなくなる家財も出てきます。

 

特に2階で火災が起きると階下の家財も水びたしになって使い物にならいものも出てきます。他にも、隣家の火事で消火活動により自分の家の家財が水びたし等で使い物にならないこともあります。

 

このような初期の火災の場合であっても家財を買いそろえるとなると100万円や200万円の出費にはなりますので、”家財保険は必要”と考えられます。

 

はぁ、家財って思いの外お金が掛かるものなんですよねぇ。現代では大概の家庭において電子機器が当たり前のように普及していますから、少なからず電子機器関係がある程度の割合を占めそうですね。

 

※ たたみやふすま、取り付けてあるエアコン、流し台、ふろおけなどは、家財ではなく建物に含まれますので家財保険を契約していなくても火災保険から支払われます。

 

家財とは?

先ほどから述べていますように家財保険とは、家財道具を補償範囲として火災保険を掛けたものです。では、その家財に入る範囲はどうなっているのか詳しく見てみましょう。

 

  • システムキッチン
  • 浴槽
  • タンス
  • 和タンス
  • ドレッサー
  • その他収納家具
  • ソファ
  • テーブルセット
  • 机個
  • 本だな
  • ベッド
  • 布団
  • 洋服類
  • こたつ
  • ストーブ
  • 扇風機
  • ステレオ類
  • ピアノや電子ピアノやエレクトーンなどの楽器類
  • テレビ
  • パソコン
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • 乾燥機
  • 仏壇
  • 自転車
  • 総排気量125ccの原動機付き自転車

 

家財道具に入らないもの

家財に入らない主なものです。
ですので家財保険に加入してもこちらのものは補償されません。

 

  • 業務に使用する動産【什器(じゅうき)、商品など】
  • 建物の外に持ち出している「家財」
  • 自動車
  • 総排気量125ccを超えるオートバイ
  • 1個1組が30万円を超える貴金属、宝石、美術品など
  • 有価証券、プリペイドカード、電子マネーなど
  • 帳簿、証書、設計書、稿本、模型など
  • 動物、植物などの生き物
  • データ、ソフトウェア、プログラムなど

 

家財保険の保険金について

家財保険は、その家で生活している家族の人数で保険金を決定するのが普通です。
ただし、家族が何人だからといって決められた保険金で契約しなければならないわけではありません。この点は、保険会社が保険金額の範囲を決める火災保険とは違います。

 

家財保険の場合には、保険金額を自由に設定できますから、単純な話、保険金を少なくすれば自動的に保険料を少なくすることはできます。

 

ただし、火災などで補償をしてもらうときに保険金が少な過ぎると役に立ちませんから適正な保険金にしておくことが大事です。

 

そこで、家財の保険金額はどのくらいが妥当なのか、目安金額について載せましたので参考にしてください。

家財保険金額の目安を知っておこう

家財の種類や数はひとり暮らしや夫婦など家族の人数で違ってきます。
また家の大きさでも違ってきます。

 

そのため各保険会社では世帯主の年齢や家族の人数によって目安額(家財の再調達価額の目安)を掲示していますのでご紹介いたします。

 

セゾン火災の場合

セゾン火災のホームページ

 

(平成28年4月現在) 

家族構成

2名

3名

4名

5名

世帯主の年齢

25歳前後

560万円

640万円

720万円

830万円

30歳前後

760万円

860万円

920万円

1,020万円

35歳前後

1,070万円

1,170万円

1,230万円

1,350万円

40歳前後

1,300万円

1,400万円

1,490万円

1,590万円

45歳前後

1,490万円

1,590万円

1,650万円

1,760万円

50歳前後

1,580万円

1,670万円

1,730万円

1,850万円

 

三井住友海上火災保険の場合

三井住友海上火災保険のホームページはこちら

 

(平成27年9月現在) 

家族構成

夫婦のみ

夫婦+子ども(18歳未満)1人

夫婦+子ども(18歳未満)23人

世帯主の年齢

27歳以下

500万円

590万円

680万円

28~32歳

590万円

680万円

770万円

33~37歳

780万円

870万円

960万円

38~42歳

1,070万円

1,160万円

1,250万円

43~47歳

1,370万円

1,460万円

1,550万円

48歳以上

1,440万円

1,560万円※1

1,650万円※2

 

※1 夫婦以外に、18才以上の方が1人の場合
※2 夫婦以外に、18才以上の方が1人と18才未満の子供が1人の場合

このように保険会社によって家財の再調達価額の目安額は異なっています。

 

もちろんこのとおりの金額を設定しなくてはいけないものではありませんので、契約者は保険会社の指定する範囲内で自由に設定することができます。

 

再調達価額とは?
保険の対象と同一の質、用途、規模、型等のものを再取得するのに必要とする額をいいます。

 

家財保険料の目安

上記のことを考えると家財保険も契約していればもしものときに「安心安全待った無し」といえますが、建物の火災保険料もあるのでそれに上乗せになるため、保険料が高ければ契約を躊躇してしまうかと思います。なるべく安く済ませたいですものねぇ。それに誰だって何かに怯えて決断を行動したくないですものね。
そこで、整理をしてみましょう。

 

少しでもそんな気持ちのお役に立てるように、保険会社によって保険料は違ってきますが、果たしてどのくらいになるのか一戸建てとマンション(自己所有の建物であり、居住のみを目的とした専用住宅)の保険料を調べてみました。

 

 

保険会社はネット上で使い勝手のよいセゾン火災を使わせていただきました。

 

保険料は、建物構造で異なっています。
マンションは準耐火・耐火構造になりますが、一戸建ては準耐火・耐火構造とそれ以外の木造になります。

 

セゾン火災の家財保険料を調査

以下の条件で調べてみました。

 

  • 保険期間:1年
  • 家財保険金額:1000万円
  • 支払い:月払い
  • 補償内容:火災、落雷、破裂・爆発など(水災は含まず)

 

※ 下記表のカッコ内の金額は、水災補償をつけた場合の保険料です。水災補償とは台風や暴風雨、ゲリラ豪雨での床上浸水や土砂崩れなどで損害を受けたときに補償するものです。水漏れによる損害とは違います。

木造一戸建て(準耐火・耐火以外)

一戸建て(準耐火・耐火)

準耐火・耐火のマンション

380円(1100円)

180円(650円)

110円(910円)

 

下記のように保険期間を長くして年払いにすると保険料は安くなります。

 

  • 保険期間:10年
  • 家財保険金額:1000万円
  • 支払い:年払い
  • 補償内容:火災、落雷、破裂・爆発など(水災は含まず)

※ カッコ内は水災をつけた場合の保険料です。

 

木造一戸建て

準耐火・耐火の一戸建て

準耐火・耐火のマンション

3800円(11100円)

1800円(6600円)

1200円(1900円)

 

家財保険の保険金額5億円で見積もり

ちなみにですが、セゾン火災で家財保険の上限額である保険金額5億円で見積もってみました。水災は入っていません。

 

保険期間1年
  • 一戸建て・準耐火・耐火構造:月々8,750円
  • 一戸建て・準耐火・耐火構造以外(H構造):月々18,810円
  • マンション・準耐火・耐火構造:月々5,690円

 

5億円の家財補償なんて通常では考えられませんが、このような保険料になるということです。

 

上記以外の保険会社で火災保険料や家財保険料を比較する場合には、こちらの火災保険の比較で見積もりできます。

 

賃貸マンションやアパートの場合

賃貸マンションやアパートは、火災保険ではなく、”家財保険”に加入します。そして家財保険に特約として借家人賠償責任がつけられています。

 

なぜ火災保険ではなく家財保険なのかといいますと、建物については大家さんが火災保険に入っているからです。

 

しかしながら、家財のことはひとまず置いておき、部屋が燃えたり水びたしにしてしまった場合には、借りている人が元に戻してくれないと大家さんは困ります。「あんたあたいの収入源をどうしてくれんのヨォ!」てなわけです。こちらとしては「そんなこと言われてもヨォ!」ですが。

 

というか、大家さんに対してはこちらが重大な過失がなくても損害賠償責任を負うことになり、原状回復義務が生じてきます。生じてしまいます。

 

そこで、このようなときに「借家人賠償責任特約」が役立つことになるわけです!

 

どうしようどうしようと「藁をもつかむ思い」の時にふっと光明が差すような保険ですね。マンションに一人暮らしをしていたので、想像すると有り難みがよくわかります。

 

賃貸の家財保険料等については、賃貸の家財保険とは?保険料の目安は?をご覧ください。

契約の際の注意点

家財保険は、1個・1組が30万円を超える貴金属・美術品等のこれらを明記物件といい、事故の際に補償の対象となりません。

 

そのため30万円を超える貴金属・美術品等は、別途特約をつけておく必要があります。
ただし、これらを明記し忘れた場合でも30万円までは家財に含まれるため補償対象となります。

 

家財の地震保険について

これこそ日本に住む方ならば特に気になる保険でありましょう。

 

もちろん地震での損害に備えて「地震保険」がありますが、実は家財にも地震保険を契約することができます。

 

家財に地震保険を契約しておくと、地震により家財が転倒して、壊れたりした場合にも支払われます。
保険金額はといえば、家財保険の50%まで契約することができます。
たとえば家財保険の保険金が1000万円ならば500万円まで契約できるわけです。

 

地震保険料については、各都道府県によって異なってきます。

 

以下の条件でセゾン火災で調べてみました。

 

  • 建物:一戸建て
  • 建築年:2000年
  • 構造:準・耐火以外(H構造)
  • 保険期間1年
  • 払込方法:月々
  • 家財保険金額:1000万円
  • 地震保険金額:500万円

 

上記の条件では、次のようになりました。

 

  • 東京都や静岡県等では家財保険料380円、地震保険料1,280円、合計1,660円
  • 高知県では家財保険料380円、地震保険料1,100円、合計1,480円です。
  • 福島県では、家財保険料380円、地震保険料510円、合計890円

 

ざっと、このように建物のある各都道府県によって地震保険料は異なっているのがおわかりいただけたかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

記載してまいりました通り、家財保険とは「建物の中にある、テレビやパソコン、洋服タンス、冷蔵庫、洗濯機、洋服、アクセサリーなどの家財が火災で焼けたときや消火活動で放水したときに水びたしで使えなくなったときに補償してくれる保険」です。

 

保険金の目安額としては、世帯主の年齢や家族構成によって違ってきます。また各保険会社によってま異なりますが、一例として、セゾン火災では、木造一戸建て準耐火・耐火以外では、380円です。水災をいれても1100円です。1100円で保証が得られるならまぁいいかなぁなんて思う筆者でした。

 

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