リバースモーゲージのイメージ写真

リバースモーゲージは、マスコミに取り上げられる機会もあまりないので、多くの方に認知されていません。そのためリバースモーゲージと聞いても、どういう商品なのかさっぱりわからない方も多いかと思います。

 

リバースモーゲージのリバースとは「逆」とか「裏腹」と訳せ、モーゲージとは、「抵当権」となりますので、逆抵当権ということになります。でもこれでは意味がわかりません。

 

簡単に言ってしまえば、「住宅担保型ローン」をいいますが、通常の住宅担保型ローンとは違い、「土地や建物を担保にお金は借りますが、毎月の返済は利息だけ、元金は亡くなったときに売却なりして精算してください」というのがリバースモーゲージです。

 

もちろんデメリット(問題点)もありますので、どのようなものがあるのか、そしてどのような銀行が販売し、銀行それぞれでどういった違いがあるのか比較してみました。他に家計を助ける方法もご紹介していますから、ご自分にとって活用できそうかわかりますので最後までご覧ください。


 

2017/10/26 13:21:26

リバースモーゲージとはこのような仕組みです

リバースモーゲージとは、55歳以上の方が住み慣れた土地や家を担保として銀行からお金を借り、そのお金は年金や一時金形式で受取れる。そして毎月の返済は利息だけで元金は亡くなったあとに精算する。これがリバースモーゲージです。

 

それでは、通常の借入れとどういった点が違うのか。
一番の違いは、毎月の返済は利息だけという点にあります。

 

リバースモーゲージのメリットとは?

リバースモーゲージのメリットには何があるのか見てみましょう。

 

  • 毎月の返済は利息だけ
  • 元金は契約者が死亡したときに、その物件を処分して返済する
  • 借り入れたお金は、投資資金以外は使い途自由。毎月の生活資金やリフォーム資金、あるいは老人ホームなどの入居資金などに活用できる
  • 毎年定額の資金を受取ることができる(銀行商品による)
  • 極度額までなら何度でも借入れることができる
  • 保証人が不要
  • 担保は自宅のみ
  • 契約者が亡くなっても配偶者がいる場合は精算せず引き継ぐことが可能

 

結構メリットが多いと思いませんでしたか。

 

リバースモーゲージと住まいの売却との違い

お金を借りれば利息を払わないといけないから「売却したほうがよさそう」とも思いますよね。だけど、売却すれば確かにまとまったお金は手に入りますが住むところがなくなってしまいます。

 

そうなりますと借家住まいか、再びマイホームを購入することになります。家を購入するといってもその売却代金で購入することができないこともあります。また住み慣れた土地を離れることは簡単にはいかないこともあります。

 

そして賃貸ともなると、家賃を毎月支払っていくことになりますので、売却代金もやがては底をついてしまう心配がでてきます。

 

その点、リバースモーゲージは自宅に住みながら毎月不足する生活資金やリフォーム資金等が得られ、世帯主が亡くなっても配偶者に引き継ぐことができるため、配偶者もそのまま自宅に住むことができます。
売却とリバースモーゲージにはこのような点が違っています。

 

ですが、リバースモーゲージにもデメリットがありますので、次項をご覧ください。

リバースモーゲージの問題点

リバースモーゲージのデメリット(問題点)は主に以下の3つです。

 

土地の値段が下落して担保価値が下がってしまう

リバースモーゲージを扱っている銀行では、融資限度額はだいたい土地担保価値の50%~70%に設定しています。そのため担保価値が下がってしまうことにより、毎月の融資が受けられなくなることがあります。また担保を超えてしまった分は一括返済する必要があります。

 

金利が上昇して利息の支払いが増えてしまう

リバースモーゲージは概ね変動金利を採用しているために金利が上昇することにより利息の支払いが多くなります。それにより使えるお金が減ってしまうこともあります。

 

想定した年齢よりも長生きをしてしまったとき

リバースモーゲージは融資を受けられる極度額(上限額)が設定されていますので、毎月生活費が不足しているような場合は長生きにより途中で極度額に達してしまうこともあります。

 

以上が主なデメリットです。また注意点として以下のものがあります。

 

リバースモーゲージの注意点

主な注意点です。

 

  1. 返済について:契約者並びに配偶者が亡くなったときに相続人が契約者の自宅を売却して売却代金で返済するか、現預金等で一括返済する必要があります。
  2. リバースモーゲージの申込みにあたり、原則、推定相続人全員の同意が必要です。
  3. 事業資金や投機資金には利用できません。

 

 

リバースモーゲージの究極の利用法がある!?

55歳以上の方で住宅ローンの返済がきつい方がリバースモーゲージを利用して住宅ローンの残債を一括返済してしまう方法をご紹介します。ただしこの方法が利用できるのは東京スター銀行のリバースモーゲージに限られます。

 

どうして東京スター銀行だけ?
なぜ、東京スター銀行だけかといいますと、東京スター銀行のリバースモーゲージでは、大きな金額を借り入れても使った分にしか利息がかからないという預金連動型ローンという特長があるからです。
預金連動型ローンとは、預金残高と同額分までは借り入れた分の利息は掛からないというものです。

 

リバースモーゲージを使った事例

たとえば、住宅ローンが1,000万円残っていて、毎月の返済額が10万円あるため年金生活では支払いが厳しくなっているので何とかしたいという場合。

 

自宅を担保に東京スター銀行のリバースモーゲージで2,000万円を借り入れて、住宅ローン1,000万円一括返済してしまいます。

 

こうすることで住宅ローンの返済は無くなります。そして、口座には1,000万円が残りますので毎月支払う利息は1,000万円のみの利息だけになります。

 

要するに、東京スター銀行から2,000万円を借りてはいますが、預金連動型ローンのため口座にある1,000万円には貸付利息が掛かりません。今まで住宅ローンを10万円返済している方ならば、今度は利息がおおよそ3万円だけ(金利により変わる)になるので毎月7万円も支出を減らすことができますからかなり家計は楽になるというお話です。

 

リバースモーゲージを利用するにあたっては各種の手数料がかかりますのでご注意ください。

 

東京スター銀行の新型リバースモーゲージ「充実人生」については動画をご覧ください。

 

 

以上のような使い方もありますが、手放しで喜べるわけでもありません。
上記の方法を利用した場合のデメリット(問題点)がいくつかありますので確認しておいてください。

 

《問題点1》
リバースモーゲージの借入金利は変動金利のため、金利が上昇した時に利息支払いが増えてしまうことが考えられます。

 

《問題点2》
土地の評価が下がり、借り入れている金額を下回った場合には超えている金額については一括返済をしなくてはいけません。

 

このような問題点はありますが、現在借り入れている住宅ローン返済が滞りそうとか、住宅ローン金利が2%を超えいて借り換えができないならば、背に腹は代えられないということで、上の方法を使ったほうがいい場合もあります。

 

そして家計が楽になった分7万円のうち、毎月少しでも預金口座に入れていけばさらに利息は減るので、このような使い方はできるかとは思います。何よりも毎月確実に返済をしなくてはいけない住宅ローンの呪縛から逃れたいという方は検討してみる価値はありそうです。

主な銀行のリバースモーゲージを比較してみました

リバースモーゲージは銀行によってそれぞれ特長があります。そこで、銀行によってどういう違いがあるのか比較してみました。比較したのは、東京スター銀行、みずほ銀行、武蔵野銀行、群馬申請の4銀行です。(2017年9月現在)

 

  • 東京スター銀行の特長:預金連動型ローンのため、預金口座にある金額と同等の借り入れ額については利息が掛かりません
  • みずほ銀行:貸越極度額は2億円まで設定できる
  • 武蔵野銀行:借入金利が短期プライムレート + 1.4%(変動金利)で他行よりも低く設定されている。
  • 群馬銀行:契約者が死亡したときの返済時に担保不動産売却代金等が借入金額全額の返済に不足する場合でも、不足分の請求がないという点に特長があります。

 

比較項目

東京スター銀行

みずほ銀行

武蔵野銀行

群馬銀行

商品名

充実人生

みずほプライムエイジ

むさしのリバースモーゲージ

夢のつづき

利用できるエリア

戸建ては全国。
 
〈マンション〉
東京都、神奈川県 埼玉県 千葉県
 
大阪市、京都市、 神戸市(東灘区・灘区・中央区・兵庫区)に単身またはご夫婦でお住まいの方

東京都

 

神奈川県

 

千葉県

 

埼玉県

埼玉県内の路線価のある地域

当行営業エリア内の路線価のある地区

(ただし、大阪を除く)

利用できる方

日本国籍の方または外国籍で永住権がある方
契約者本人55歳以上
配偶者いる場合、配偶者の年齢が50歳以上
年収が120万円以上ある(年金収入など、長期安定的に見込める年収に基づいて審査)
取扱店におおむね2時間以内に来店できる方。

以下のすべての条件を満たす個人
契約時の年齢が満55歳以上なら年齢に上限なし。
自宅に夫婦2人暮らし、または1人暮らし
金融資産を相応に保有し、安定かつ継続した収入の見込める(年金収入等)。保証会社の保証を受けられる
戸籍謄本により推定相続人が確定できる

 

 

融資時年齢満55歳以上満80歳未満の方

 

 

年金等安定継続収入があり、前年度税込年収1,200千円以上の方

 

 

原則、自宅に1人暮らし、または夫婦2人暮らしの方

 

 

埼玉県内の路線価のある地域の一戸建てに居住している方

契約時の年齢が満60歳以上の方。
 
本人一人または配偶者と二人で居住している方
路線価のある地区の一戸建てマンション(当行が融資対象と認めるものに限ります。)
公的年金等の安定収入のある方で、当行で年金振込を利用する方
 
当行で遺言信託を利用している方または利用する方
その他、当行所定の融資基準を満たしている方
 

資金の使いみち

医療費や介護費など、万一の際の費用
老後の生活資金(有料老人ホーム入居資金など)
住宅の建替え(バリアフリー住宅建築など
店舗併用住宅を含む。ただし、第三者が営業する店舗は除く)
住宅の改築(バリアフリー化・老朽化対策など。店舗併用住宅を含む。ただし、第三者が営業する店舗は除く)

以下のいずれかの商品を選べます。
 
フリー口:自由(ただし、事業性資金・有価証券投資資金・各種預金商品、投資信託・保険商品等は除く
 
目的口:有料老人ホームへの入居保証金、自宅の増築・改装費用、医療費等、資金使途があらかじめ確認できる資金

原則として自由。
 
日々の生活費ご自宅の増改築資金、医療費や介護費当行扱いを含む住宅ローンの一括繰上返済資金
 
※事業性資金、投機性資金には利用不可。

生活資金等自由。
 
ただし、事業資金や投機資金には利用できない。

融資実行期限

終身

満80歳

5年、銀行または契約者から申し出がない限り、5年毎に自動更新 満86歳まで。配偶者がいる場合はいずれか若い方を基準

融資金額

(貸越極度額上限)

融資極度額は、500万円以上1億円。
 
マンションにて利用の場合は5000万円以内(10万円単位)。実際の借り入れ残高が契約の極度額に達するまで、何度でも利用できる。極度額以内であれば、資金の利用1回あたりの金額に制約はない。

貸越極度額はフリー口(*1)、目的口合算で1,000万円以上2億円以内(100万円単位)、かつ自宅の評価額(*2)以内。
 
*1フリー口の貸越極度額は4,000万円以内。
 
*2自宅の評価額は、担保物件が戸建の場合は土地評価額、担保物件がマンションの場合は将来的な売却価格をふまえたみずほ銀行所定の方法により評価した評価額。

100万円以上3,000万円以下(10万円単位)、かつ自宅の土地評価額(銀行所定の方法による評価)の50%以内

100万円以上1億円以内かつ自宅評価額の50%以内
 
自宅評価とは、一戸建ては土地評価、マンションは、マンション評価額です。

融資極度額の見直し

融資極度額は年に1回見直しあり。
 
融資極度額の見直しは所定の担保評価により行い、見直し後の評価額が前年度の評価額を下回る場合、融資極度額を担保評価額と同額まで縮減される場合がある。
 
融資極度額の縮減により、借り入れ残高が極度額を上回った場合には、超えた金額について1年以内に一括または分割で返済が必要。

みずほ銀行所定の担保評価により、自宅の評価額の毎年見直しを行う。
 
見直し後の評価額が前年度の評価額を下回る場合等、貸越極度額を評価額と同額まで減額される場合がある。
 
また、貸越極度額の減額により、ご利用残高が貸越極度額を上回った場合には、上回った金額について一括で返済必要。*利用残高は利息額を含めた金額となります。

銀行所定の担保評価により、自宅の評価額の見直しを毎年行う。
 
見直し後の評価額が前年度の評価額を下回る場合等、融資極度額を自宅の評価額と同額まで減額される場合がある。
 
融資極度額の減額により、利用残高が融資極度額を上回った場合には、上回った金額について一括で返済必要。

契約後、3年毎に、土地評価額を上限として貸越極度額の見直しを行う。
 
 
土地評価額が下がっていた場合には土地評価額を上限として貸越極度額の見直しを行う。

返済方法

利息部分は毎月返済。ただし、利息部分は預金残高に連動して毎月変動する。
 
元本部分は、元本返済期日(契約者が亡くなってから6ヵ月後)における一括返済。
 
返済方法は、相続人により「現金での返済」または、「担保不動産の代物弁済」の2種類の方法から選択可能
 
(注:契約終了時に代物弁済を選択された場合、ローン残高が物件評価額を上回る結果となった場合には税務上、一時所得として課税される可能性がある)。

原則、担保物件の売却代金などにより、一括返済。
 
随時、手許資金による返済が可能。
 
なお、亡くなった際に、法定相続人からの手許資金による一括での返済も可能。

元金は、原則、自宅の売却代金等により、一括返済。
 
※随時、手元資金による返済も可能。
 
※契約者が亡くなられた場合に、法定相続人からの手元資金による一括返済も可能。利息は、毎月7日に後払い。

借入金は、次の場合に一括返済。(利息は毎月支払う必要があります。)
 
本人または本人並びに配偶者が亡くなったとき。
 
転居等により自宅に住まなくなったとき。(ただし、老人ホームに入居した場合は除きます。)
 
随時手元資金による返済も可能。
 
担保不動産売却代金等が借入金額全額の返済に不足する場合でも、不足分は請求がありません。

借り入れ金利

借り入れ金利は、変動金利型のみ。
 
基準金利に調整幅を加算した金利が、適用金利となります。
 
借り入れ金利=基準金利+調整幅2.8%

利用する商品によって、借入金利が異なる。フリー口借入金利は短期プライムレート(基準金利)+年2%の変動金利。
 
目的口の借入金利は短期プライムレート(基準金利)+年1.5%の変動金利。
 
借入金利は、4月1日・10月1日の短期プライムレートを基準として、各々5月10日・11月10日(銀行休業日の場合は翌営業日)以降に適用。

短期プライムレート + 1.4%(変動金利) 短期プライムレートに連動する変動金利

事務手数料や保証料等の費用

初回利用時 極度貸付利用手数料 108,000円(税込)
 
担保管理料 2年目以降12,960円(税込)
 
※年に1回、担保評価額を見直し。資金利用1回あたりの手数料は無料。その他、登記費用、印紙税等の費用(実費)がかかります

借入金利に保証料相当額年率 0.2%を含みます。
 
負担いただく保証料は、みずほ銀行に支払う借入金利に含まれます。

条件変更を行う場合は、5,400円。(消費税等含みます)株式会社朝日信託のリバースモーゲージ信託利用に伴い、株式会社朝日信託との間で信託設定時・管理・取引・信託契約終了時手数料が別途かかります。
 
※不動産担保設定手数料、繰上返済手数料は不要です。
※登記費用・印紙税等の費用が別途かかります

遺言信託の手数料が発生します。
 
申込時、保管中、遺言執行時にそれぞれ所定の料金がかかります。

返済期限

元本部分は、元本返済期日(契約者が亡くなってから6ヵ月後)における一括返済。 原則、契約者が亡くなられた時や、転居などにより、担保物件を売却される時

契約者が亡くなられた場合
株式会社朝日信託との信託契約を解除する場合
期限の利益の喪失事由に該当する場合

本人または本人並びに配偶者が亡くなられたとき。転居等により自宅に住まなくなったとき。(ただし、老人ホームに入居された場合は除きます。)

 

まとめです

リバースモーゲージとは、55歳以上の方が住み慣れた土地や家を担保として銀行からお金を借り、そのお金は年金や一時金形式で受取れる。そして毎月の返済は利息だけで元金は亡くなったあとに精算する。これがリバースモーゲージです。

 

メリットもありますが、金利の上昇や土地の担保価値の低下などの問題点がありますので、じっくりと検討されてから契約をおすすめします。

 

以上、「リバースモーゲージの仕組みと問題点について解説」でした。

まとめ

リバースモーゲージは、老後のお金の不足を補うことができる商品です。
通常のローンでは、元金と利息を返済していくことになり金利も高いですが、リバースモーゲージでは担保が自宅となるため金利が低めで、保証人不要、毎月は利息のみの返済で、元金は契約者が死亡した時点で精算となります。それでも配偶者がいる場合は、引き継ぎが可能ですので配偶者は住み続けることができます。

 

このようなメリットがありますが、金利は変動金利であり、土地の評価が下がったときにあらかじめ定めた極度額を超えた分の借入額は返済しなくてはいけない、登記費用や印紙税、あるいは遺言信託を作成する費用なども掛かるというデメリットもあります。
以上、「リバースモーゲージの比較。東京スター銀行など4銀行の特長」についての記事でした。

 

〈各銀行のリバースモーゲージへのリンク〉

東京スター銀行リバースモーゲージ

みずほ銀行リバースモーゲージ

武蔵野銀行リバースモーゲージ

群馬銀行リバースモーゲージ