虫歯でも重度となると抜歯することがあります。また、近年多くなってきましたインプラント。インプラントは必ず抜歯や歯槽骨を削るなどの外科的手術を伴いますので入院はしなくても生命保険からの手術給付金の対象にもなりそうな気がします。では実際に支払われるのかについて深堀してみました。

 

2017/09/27 10:44:27

インプラントと生命保険からの給付金支払いについて

インプラントは健康保険が適用されない(一部を除く)ため、全額自己負担となります。そのため歯1本あたり30万円、40万円にもなります。

 

そうであるならば、少しでも受取れるものはないかと考え思い浮かぶのが生命保険からの給付金ではないでしょうか。

 

生命保険の給付金には、死亡、障害、入院、手術がありますが、この中でインプラントが該当しそうなのは「手術給付金」です。

 

インプラントは外科的手術を必ず伴うからです。

 

インプラントや虫歯で抜歯手術を行っても給付金が支払われないのが普通ですが、中には人工骨移植を行うものもあります。その場合には対象となってきます。

 

人工骨移植とは、歯槽骨(しそうこつ)が薄くてインプラントを埋め込むことができない方に骨移植や骨造成を行って骨を増やしてからインプラントを行うものです。

 

インプラントの骨移植には、自家骨、同種移植材、異種移植材、人工代用骨の4つがあります。骨移植術の詳細は、こちらの外部サイト(かねこ歯科インプラントクリニック)をご覧ください。

 

インプラントの手術は、上顎骨や下顎骨、顎関節に穴をあけたりして骨を削ります。これらのみの手術であれば、契約している生命保険約款に「歯・歯肉の処置を伴うものを除くもの」となっている場合は、支払い対象とはなりません。

 

こちらの関連として、生命保険協会の裁定が行われた事案がこちらです。
「埋伏歯抜歯手術を受けたとして、手術給付金の支払いを求めて申し立てのあったもの。」埋伏歯(まいふくし)とは親しらずのことです。

 

ただしこの点については各保険会社や各商品によって見解が異なる場合がありますので手術給付金の支払の有無については契約保険会社にお尋ねください。

生命保険約款の支払い手術名はどうなっている

インプラントでも骨を削るだけでなく、骨移植を伴う手術なら保険から給付金が支払われるケースが一般的になりますが、いずれにしても契約している生命(医療)保険約款に支払対象として「骨移植手術」とうたわれていなくては支払われません。そこで、主な医療保険の約款はどうなっているのか調べてみました。

 

※ 実際の手術給付金の支払いの有無については各保険会社にお尋ねください。

 

オリックス生命のキュア・キュアレディ/無配当 医療保険(2007)

こちらの約款には、「骨移植術」と掲載されていますので該当するならば支払い対象となります。

 

あんしん生命 メディカルKit NEO・メディカルKit R/2017年8月改定

メディカルKit NEO・メディカルKit Rの約款には、骨移植術は掲載されていません。
ただし、「病気やケガで、公的医療保険制度に基づく医科診療報酬点数表により、手術料の算定対象として列挙されている所定の手術を受けたとき」に支払われるとなっています。メットライフ生命の終身医療保険 フレキシィ S[シンプルタイプ]なども同様です。

 

骨移植術については、医科診療報酬点数表に掲載されていますので、支払い対象となると思われます。

 

ソニー生命の医療保険

ソニー生命の医療保険は、上顎骨や下顎骨、顎関節観血手術(歯・歯肉の処置を伴うものを除く)となっていますので、インプラントのためこれらの手術を行っただけでは支払い対象になりません。骨移植術を行った場合には、約款に掲載されていますので、支払対象(20倍)となります。

 

ざっとですが、他の保険会社の約款も見ましたが、骨移植術は手術給付金の対象になっていました。

 

 

まとめ

歯の抜歯手術は、手術給付金の支払い対象にはなりません。
インプラントでも上顎骨や下顎骨、顎関節観血手術(歯・歯肉の処置を伴うものを除く)だけでは給付金の支払い対象にはなりません。

 

インプラントや重度の虫歯等により薄くなった歯槽骨を強化するために行う「骨移植術」については、生命保険約款にうたわれている、あるいは、公的医療保険制度に基づく医科診療報酬点数表により、手術料の算定対象として列挙されている所定の手術ならば、給付金の支払い対象になります。

 

※ 実際に支払わるかどうかは各ケースで異なりますので、詳しくは各保険会社にお尋ねください。

 

以上、「インプラントや虫歯での抜歯は手術給付金の対象になりますか」でした。