このページでははじめて出産する方やシングルマザーの方が、帝王切開で子どもを産んだ場合に費用がかさみます。こういう場合には高額療養費を利用することができますがその前に限度額適用認定制度も利用することができます。この点について解説します。

 

2015/06/05 12:50:05

帝王切開でもなるべく自己資金を使わないために

はじめてお子さんを出産する方、シングルマザーも含めて体調のことだけでなく、金銭面でもなにかと初めてのことばかりでたいへんなことが多いものです。

 

中でも帝王切開ともなると費用がかさみますので、こういった場合には高額療養費(医療)制度も利用できることを知っておきましょう。

 

高額療養費とは、月の初めから終わりまでの医療費が一定額を超えた場合には自己負担の限度額が設定してありますので、その額以上の医療費については還付されます。これを高額療養費制度といいます。

 

高額療養費の詳細は
こちらのページをご覧ください平成27年度の高額療養費の改正と計算方法、70歳未満と70歳以上について。

 

またなるべく自己資金を使わないようにするには、健康保険の出産一時金も利用するようにします。

 

健康保険に加入している人が出産すると受け取れるものが出産一時金ですが、どの健康保険に加入していても金額は一律42万円(在胎週数が22週に達していないなど、産科医療補助制度加算対象出産でない場合は39万円)です。

 

正常分娩でも異常分娩でも受取れます。
双子なら42万円×2=84万円になります。

 

以前は、一般的には、出産時には自分で病院に出産費用を支払って、後から自分で保険者に請求して受け取っていました。

 

最近は、病院が健康保険組合に対して手続きを行なう「直接支払制度」や手続きは被保険者が行い、費用の受け取りは病院が行うという「代理制度」というものがありますので、こちらを利用することにより、その分窓口で支払う金額を減らすことができます。

 

たとえば、帝王切開での出産費用が57万円だとしても、直接支払制度や代理制度を利用すれば57万-42万=15万円でOKです。

 

この15万円ですが、高額療養費の請求をすれば、下記のように計算して超えた分はあとから還付されてきます。

 

限度額適用認定とは

また、もし帝王切開などでの出産とわかっているならば、健康保険が適用され、高額医療費の給付対象となりますから先に健康保険組合(国保の方は市町村役場の窓口)に限度額適用認定を請求しておくことで高額医療費の限度額範囲内の支払いだけにとどめることができます。

 

外来診療も高額療養費に適用されるようになっていますが、70歳未満の場合は、21,000円以上であれば合算することができ、その合計額が上限額を超えれば高額療養費の支給対象となります。

 

70歳未満の所得区分による高額医療費限度額

平成27年1月からは以下のように区分されています。

 

標準報酬月額83万円以上の方
区分ア:252,600円+(総医療費-842,000円)×1%

 

標準報酬月額53万~79万円の方
区分イ:167,400円+(総医療費-558,000円)×1%

 

標準報酬月額28万~50万円の方
区分ウ:80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

 

標準報酬月額26万円以下の方
区分エ:自己負担限度額57,600円

 

被保険者が市区町村民税の非課税者等
区分オ:自己負担限度額35,400円

 

たとえば、標準報酬月額が一般所得者に該当している場合で、窓口で医療費として支払ったお金(差額ベット代や食事負担代、インプラント費用は除きます)が15万円(同一月の入院)とすると、以下のようになります。

 

窓口で支払った医療費が3割負担で15万円ということは、実際の医療費としては、15万円÷3×10=50万円となります。
該当するのが区分ウの場合の計算式としては、

 

80,100+(500,000円-267,000円)×1%=82,430円

 

150,000万円-82,430円=67,570円が手続きを行なってから約2~3ヶ月後に還付されてきます。ですが、先に限度認定をしておくことで、医療費としては15万円の支払いではなく82,430円だけの支払いでOKということになります。

 

もちろん、この他に健康保険が使えなく全額自己負担となる差額ベット代や食事費用の支払いがあります。

 

以上のように、直接支払制度を利用することで自己資金をなるべく使わずに済みますし、異常分娩が予想される場合には、さらに限度額適用認定を申請しておくことで支払いを健康保険の高額医療費限度額内に納めることができます。

 

最後に・・・

出産する前にもしも切迫早産になりかけてしまったら大変です。
入院をする必要も出てくるのでお金もかかりますし、何よりも早産でうまれてしまった場合に低体重の赤ちゃんほど重い障害が出る確率が高くなるからです。妊娠中はとにかく様々なことが起こりやすいので気をつけてください。

 

 

 

切迫早産の入院費用と生命保険や高額療養費など知っておきたい大事なポイントという記事も書いていますのでよろしければご覧ください。

 

そしてあなたさまが会社にお勤めしていて、雇用保険に加入し、育児休業や育児休業給付金を受給する権利があるようでしたらこちらの記事もご覧ください。育児休業給付金のためハローワークで行なう申請手続きと計算方法

 

またお子さんが生まれてから学資保険が必要かどうか学資保険のデメリットやメリットはどういうものか知っておくとよいと思いますのでこちらの記事もご参考にどうぞ。

 

シングルマザーの方の助成金や支援制度については下のページをご覧ください。
母子家庭の手当とシングルマザーの支援など総まとめ