一般的に介護保険認定は、65歳以上が対象と認識されていますが、40歳から64歳までの第2号被保険者でも介護認定を受けることができます。
ただし認定を受けることができるのは特定疾病に該当される方のみです。では、特定疾病とはどのような疾患が該当するのかの一覧と、どのような手順で介護認定を受けるのかについて解説します。
2018/12/20 12:21:20
介護認定の特定疾病は16種類あります
第2号被保険者(40歳から64歳)の方は、特定疾病で要介護認定されないと介護保険を利用することができません。
特定疾病は全部で16種類あります。
特定疾病に該当する16種類
- がん【がん末期】(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限ります。)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症※1
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患※2
※1…アルツハイマー病、ピック病、脳血管性認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病など
※2…肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎
介護保険と医療保険のどちらを使うことになるの?
介護保険と医療保険のどちらにするかは、利用者側が選択できません。
要介護認定されていて介護保険と医療保険で重複しているサービスを利用する場合は、介護保険サービスを優先して利用することになっていますが、40歳上65歳未満の第2号被保険者の訪問看護においては以下のように3区分されます。
①40歳上65歳未満の第2号被保険者の人で上記に掲げた特定疾病に該当し、厚生労働大臣の定める以下に掲げた疾病に該当しない、さらに主治医より特別指示書が出ている。医療保険の訪問看護の利用になります。週4日以上の訪問、2か所以上の訪問看護ステーションの利用が可能です。
②40歳上65歳未満の第2号被保険者の人で上記に掲げた特定疾病に該当し、厚生労働大臣の定める以下に掲げた疾病に該当しない、さらに主治医より特別指示書が出されていない。この場合は介護保険の訪問看護となり、ケアプランに基づいての利用になります。
③40歳上65歳未満の第2号被保険者の人で上記に掲げた特定疾病に該当し、以下の厚生労働大臣の定める疾病に該当する。こちらは、医療保険の訪問看護の利用になります。週4日以上の訪問、2か所以上の訪問看護ステーションの利用が可能です。
※ 40歳上65歳未満で特定疾病に該当しなければ、医療保険の訪問看護の利用になります。
※ 65歳上の人は、特定疾病に関係なく厚生労働大臣の定める以下に掲げた疾病に該当、もしくは該当しなくても指示書が主治医から出されていれば医療保険の訪問看護の利用となります。
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症※
- 重症筋無力症※
- スモン※
- 筋萎縮性側索硬化症※
- 脊髄小脳変性症※
- ハンチントン病※
- 進行性筋ジストロフィー症※(←指定難病としては、「筋ジストロフィー」)
- パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度が2度又は3度のものに限る。))※
- 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)※
- プリオン病※
- 亜急性硬化性全脳炎※
- ライソゾーム病※
- 副腎白質ジストロフィー※
- 脊髄性筋萎縮症※
- 球脊髄性筋萎縮症※
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎※
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態※(←指定難病又は特定疾患で人工呼吸器を使用している場合)
特定疾病の申請手順
申請については、第1号被保険者と特定疾病の申請手順は同じです。
次のような流れになります。
- 要介護認定のため申請を市町村の担当課に提出する
- 認定調査の訪問を受ける
- 一次判定が行われる
- その結果をもとに介護認定審査会で二次判定が行われる
- 結果の通知が行われる
- 要介護認定のための申請について
要介護認定のための申請について
要介護の認定を受けるためには、市町村(保険者)の担当課に「要介護認定申請書」を提出します。その際に、第二号被保険者は、医療保険(国保など)の被保険者証も添えて提出します。なお、本人が窓口まで行くことが出来ない場合は家族等が代行で提出することができます。
認定のため訪問調査を受ける
申請した書類が受理されると、市町村の担当窓口から連絡があり、本人の面接・調査のため日時場所が決められます。面接場所は住まいや病院などになります。
調査員は、市町村職員の場合と市町村から委託を受けたケアマネージャーなどが行います。この調査は、全国一律の項目・方法で行われます。内容は、概況調査、基本調査67項目、特記事項となっています。
なお、要介護認定には、主治医の意見書が必要になります。市町村が申請書の記載に基づいて主治医に依頼をします。
一次判定について
先に行われた認定調査の中の基本調査67項目の結果をもとに数値化が行われ、「要介護認定基準時間」として表されます。
この要介護認定基準時間とは、「介護にかかる手間」を時間に反映させています。
たとえば、入浴や排せつ・食事、洗濯や掃除、不潔な行為に対する後始末、歩行訓練、医療関連行為の5つの分野の介助を行うのに25分未満であれば要介護には認定されません。
25分から32分未満であれば要支援1、・・・110分以上は要介護5というように時間数によって介護区分が決まります。
二次判定について
一次判定の結果をもとに介護認定審査会で最終的な二次判定が行われます。この二次判定で、特定疾病の確認が行われ、介護が必要となった状況が特定疾病による原因かどうか確認が行わます。
基本調査の結果が特記事項や主治医意見書と整合性がとれているか確認し、介護の手間ににかかる審査も判定が行われます。
要介護認定の通知
介護認定審査会の判定結果を受けて、市町村が文書で通知を行います。原則は申請日から30日以内に行うことになっています。
もし、要介護認定されない場合には、不認定通知が本人に通知され、被保険者証も返送されます。
まとめ
介護保険では、特定疾病が指定されています。
第2号被保険者(40歳から64歳)の方は、以下に該当する特定疾病で要介護認定されないと介護保険を利用することはできません。
がん末期や関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、後縦靱帯骨化症などを含めた16疾患です。
さらに介護保険を利用するには、申請を行います。その後は、市町村職員の場合と市町村から委託を受けたケアマネージャーなどが行い、一次判定、二次判定へと進み、介護認定審査会の判定がくだされます。
以上、「介護保険の特定疾病とは、どのような病気が該当するの?」でした。