まだ印鑑登録をしたことがなく、今後印鑑登録の希望のある方向けに手順や登録できる印鑑、できない印鑑について解説します。
2016/09/26 12:38:26
なぜ印鑑登録は必要なの?
印鑑登録とは?何を意味する言葉なのでしょうか。
印鑑登録とは、住民票のある市区町村役場に本人の印鑑であること公に証明してもらうために届出・登録をしておくことを「印鑑登録」といいます。
この登録した印鑑のことを「実印」といいます。
ですから、はじめからハンコ屋さんで実印として売られているわけではありません。(社会人に成りたてのころ私はそう思っていました)・・・(笑い)
※ ちなみに法人の場合は、法務局に届出をした印鑑が法人実印となります。
印鑑登録が完了するとその証に「印鑑登録証や住基カード兼印鑑登録証、又は個人番号カード兼印鑑登録証」が交付されます。この登録証を市区町村役場の住民窓口に提示することで、「印鑑証明書」を発行してもらうことができます。
おおまかにはこのようなものが「印鑑登録」になりますが、どのような印鑑が登録できるのか、またできないのか、なぜ印鑑登録が必要なのか等について取り上げてみましたので引続き以下をご覧ください。
なぜ印鑑登録は必要なのでしょうか。世の中には、以下のような手続きで、「印鑑証明書」の提出が必要になるからです。
・住宅ローンの正式な申込み
・相続時に作成する遺産分割協議書
・生命保険の死亡保険金の請求
・自動車の購入・売却・廃車・名義変更
・ゴルフ会員権の購入・売却
・不動産の売買契約(売主は印鑑証明が必要だが買主はローン契約をする場合のみ必要)
上記の手続きがあるときに印鑑登録をしてもいいのですが、15歳未満の方や成年被後見人でなけれな登録できますので、あわててするよりも登録をされておいたほうがよいかとは思います。
印鑑登録証明書の有効期限は?
上記のような手続きは、印鑑登録証明書の提出が必要ですが、ほとんどが発行日からの有効期限が定められています。
役所から有効期限を指定することはありません。書類を必要とする機関の指定になりますが、一般的には、発行から3か月以内、あるいは6カ月以内と指定されています。
※ 遺産分割協議書に添付する印鑑登録証明書は有効期限は決められていませんが、銀行等に提出する遺産分割協議書に添付する印鑑登録証明書は発行日より主に6カ月以内のものとなっています。この期限は銀行により取り扱いが異なる場合がありますので各自で関係する銀行にご確認ください。
登録できる印鑑とできない印鑑とは?
登録できる印鑑はひとり1個ですが、登録できるものとできないものがあります。
市区町村の印鑑登録条例によって異なりますが、おおむね以下のようになっています。
登録できる印鑑とは?
登録できる印鑑は、1辺が8ミリを超えて、25ミリ以下の正方形に収まり以下に該当するものになります。
※ 実印を作る際はこの範囲内で作成する必要があります。
- フルネームの印鑑
- 名字だけの印鑑
- 名前だけの印鑑
- 名字と名前の一部を組み合わせた印鑑
登録できない印鑑とは?
以下の印鑑は登録できません。
- 印影の大きさが8ミリメートルの正方形に収まるもの又は25ミリメートルの正方形に収まらないもの
- ペンネームやニックネーム、愛称、称号などが刻印された印鑑
- ゴム印(シャチハタ印)
- 印影が不鮮明
- 縁のない印鑑
- 住民票の氏名にない文字を加えたもの
- 他のものがすでに登録で使用した印鑑
- 職業、資格等他の事項を併せて表しているもの
- 逆さ彫りのもの
- 変形しやすいもの
- 首長が適当でないと認めた印鑑
印鑑登録に必要なものはなに?
印鑑登録に必要なものは印鑑と本人確認書類になります。
本人確認書類として、以下の証明書は1枚の提示で足ります。
- 運転免許証
- パスポート
- 写真付き住民基本台帳カード
- 個人番号カード(マイナンバーカード)
- 小型船舶操縦免許証
- 宅地建物取引士証
- 身体障害者手帳
- 療育手帳
- 小型船舶操縦免許証
- 船員手帳
- 戦傷病者手帳
- 国又は地方公共団体の機関が発行した身分証明書
- 在留カードなど
2枚以上の提示が必要な本人確認書類
- 写真の貼付のない住民基本台帳カード
- 国民健康保険、健康保険、船員保険、又は介護保険の被保険者証
- 共済組合員証
- 国民年金手帳
- 国民年金、厚生年金保険又は船員保険の年金証書
- 共済年金又は恩給の証書
- 戸籍謄本等の交付請求書に押印した印鑑に係る印鑑登録証明書
- 学生証、法人が発行した身分証明書で写真付きのもの
運転免許証やパスポートもない、写真付きの学生証もない場合は?
運転免許証やパスポート等がない方や2枚以上の提示が必要な本人確認書類が提示できない方は、すぐに印鑑証明書がほしいときでも発行してもらえません。
このような場合には、即日発行してもらう方法として「保証人方式」があります。
手続きの際は、本人だけ窓口に出向く場合と保証人も同行する場合では必要書類も異なっています。
※ 保証人方式も各役所によって必要書類が異なっていますので、下記必要書類は参考としてください。
本人だけが役所に出向く場合
役所に出向く前に保証人に印鑑登録申請書にある保証人欄にあらかじめ記入してもらい、実印も捺印されている必要があります。他の部分は本人が記入します。
- 登録する印鑑
- 健康保険証等の本人確認書類(健康保険証の他、診察券等の2種類の証明書が必要な役所もあります)
- 保証人の印鑑登録証明書(保証人の住民登録地が市外の場合)
本人と保証人が同行する場合
役所に出向いたら、保証人に印鑑登録申請書にある保証人欄に必要事項を記入と実印を捺印してもらいます。その他の欄は本人が記入します。
- 登録する印鑑
- 健康保険証等の本人確認書類
- 保証人の実印と印鑑登録証(カード)
印鑑登録は代理人でもできますが手続きが違っていますよ
印鑑登録は本人だけでなく、やむをえない理由がある場合には代理人でも手続きは可能です。ただしその際は即日登録ができません。やむをえない理由とは、病気で入院中、寝たきりである等になります。
後日、役所から本人の自宅あて照会文書が郵送されてきますので、回答書を申請日から1ヵ月以内(役所によって異なる場合がある)に窓口へ持参し、手続きをする必要があります。
初てめの手続きの際には、委任状(役所によっては代理人選任届ともいう)が必要になります。また、役所によっては、申請時に電話で登録者本人の意思確認をするところもあります。
代理人による申請に必要なもの
代理人による印鑑登録手続きは、以下のものが必要になります。
- 登録する印鑑
- 代理人の認印
- 委任状(登録する印鑑の押印が必要)
- 代理人本人の身分確認書類
回答書持参の際に必要なもの
回答書が届いてから、本人が役所窓口に持参する場合と、このときも代理人が持参する場合では必要なものは違ってきます。これらを用意して再度役所に行きます。
本人持参の場合
- 登録する印鑑
- 回答書
- 本人確認書類
代理人持参の場合
- 登録する印鑑
- 送付されてきた回答書
- 委任状
- 登録者本人の確認書類(原本)
- 代理人の本人確認書類
- 代理人の認印
委任状の入手先について
委任状、または代理人選任届については、ほとんどが各市区町村役場のホームページからダウンロードできますが、所定の用紙はなく、便せん程度の大きさに委任者が手書きをするところもあります。
印鑑登録委任状の見本とリンク先
世田谷区の印鑑登録委任状の見本
世田谷区の印鑑登録委任状書き方の説明ページ
江戸川区の印鑑登録委任状の見本
江戸川区区の印鑑登録委任状ダウンロード先
印鑑登録の手数料はいくら?
印鑑登録の料金については、各市区町村で異なっています。
主な東京23区内の印鑑登録手数料
平成28年4月現在の手数料です。
- 足立区:50円
- 文京区:100円
- 荒川区:50円
- 新宿区:50円
- 渋谷区:100円
- 台東区:50円
- 千代田区:50円
- 練馬区:50円
- 港区:無料
他の市区町村の印鑑登録手数料
平成28年4月現在の手数料です。
- 東京都八王子市:100円
- 千葉県松戸市:300円
- 千葉県浦和市:300円
- 神奈川県川崎市:300円
- 福岡県福岡市:無料
- 熊本県熊本市:300円
- 沖縄県那覇市:300円
このように比較してみました結果、東京23区内は登録手数料は50円や100円となっていますが、他の市区町村でも300円くらいに収まっているようです。
印鑑登録をしたところからの住所変更
住民登録のあるところから、他の自治体に移転する場合には、登録した印鑑は無効になります。
そのため、印鑑登録証は返還する必要があります。
そして、あらたな移転先の市区町村に印鑑登録をしなおす必要があります。
いずれにしても、あらたな市区町村に住民票の移動のための転入手続きをする必要がありますので、その際に印鑑登録もすませておけば安心です。
印鑑登録をしなおす必要がないケース
引っ越しといっても同一の市区町村なら他の自治体ではありませんので、印鑑登録は有効なままですので、返還もする必要がありません。
印鑑登録を廃止するには?
印鑑登録が不要になった場合には廃止することもできます。
印鑑登録証は役所に返還することになります。大阪市は自分でハサミをいれて廃棄することもできます。
廃止時に必要なもの
登録している印鑑
印鑑登録証
委任状(代理人による申請の場合に添付)
外国人の印鑑登録について
外国人でも住民登録があれば、その市区町村で印鑑登録ができます。
その際に、外国人登録証明書または在留カードまたは特別永住者証明書、運転免許証、登録する印鑑が必要です。
登録できる印鑑は、住民基本台帳に記録されている氏名または通称(日本での名前)の「フルネーム」「氏のみ」「名のみ」を表した印鑑になります。
外国人の登録できる印鑑とできない印鑑の例
一般的には印鑑登録の可否については以下のようになっています。
※印鑑を作成する前には必ずお住いの市・区役所等でご確認ください。
まとめ
印鑑登録とは住民票のある市区町村役場に本人の印鑑であること公に証明してもらうために届出・登録をしておくことを「印鑑登録」といいます。
印鑑登録をした印鑑を「実印」といいます。ですので、実印は販売されているものではなく、印鑑登録をした印鑑が実印になります。
印鑑登録が完了するとその証に「印鑑登録証や住基カード兼印鑑登録証、又は個人番号カード兼印鑑登録証」が交付されます。この登録証を市区町村役場の住民窓口に提示することで有料で「印鑑証明書」を発行してもらうことができます。
印鑑証明書は、住宅ローンの正式な申込み、相続時に作成する遺産分割協議書、生命保険の死亡保険金を受取りなどに必要になります。
登録できる印鑑は、1辺が8ミリを超えて、25ミリ以下の正方形に収まるもので以下のものになります。
- フルネームの印鑑
- 名字だけの印鑑
- 名前だけの印鑑
- 名字と名前の一部を組み合わせた印鑑
以下のものは印鑑登録ができません。
登録に行ったのにできないのでは、二度手間になってしまうので、あらかじめお住いの市区町村役場に確認することが大切です。
- 印影の大きさが8ミリメートルの正方形に収まるもの又は25ミリメートルの正方形に収まらないもの
- ペンネームやニックネーム、愛称、称号などが刻印された印鑑
- ゴム印(シャチハタ印)
- 印影が不鮮明
- 縁のない印鑑
- 住民票の氏名にない文字を加えたもの
以上、「印鑑登録とはどういうもので、なぜ必要なの?」でした。
次は印鑑証明の取り方についてご紹介です。