人生の大きなイベントのひとつに結婚があります。初めての結婚は初婚、2回目以降は再婚ですが、いずれも役所に婚姻届を提出し受理してもらうことで法的に夫婦として認めらます。
提出しない限りは、結婚式を挙げても披露宴をしても法的に認められないわけですから、税法上の配偶者控除を受けることも健康保険の被扶養者として入れることもできません。
そこで、このページでは、婚姻届の提出にあたり事前に知っておいたほうがスムーズに行きますので、婚姻届の書き方や証人のこと、必要書類、戸籍謄本などの関連用語について解説します。
2016/12/12 14:13:12
婚姻届の入手とダウンロード先
婚姻届は市町村役場で入手できることはご存知かとは思いますが、近年は風変わりな様式も登場していますのでご紹介します。
まず、婚姻届の様式についてです。
提出先の各役所ごとの様式のものを使う必要があると思われがちですが、実は全国共通A3用紙サイズになっています。
そのためどこの市区町村役場の窓口でもらったものでも使うことができます。もらうのは本庁の窓口だけでなく、役所の出張所でももらうことができます。Web上からダウンロードすることもできます。
web上からダウンロードできるものとしては、役所によってはダウンロード先リンクが用意されているところもありますが、日本全国のご当地とゼクシィがコラボしたオリジナルデザインの婚姻届「まちキュンご当地婚姻届(無料)」や「婚姻届製作所」などもあります。婚姻届製作所のホームページはこちらです。
アマゾンでも婚姻届は販売されている
ちなみにアマゾンでもデザインされたものが販売されています。提出用と保存用があるので、手元に残しておけますし、婚約した親族・友人への結婚祝い・婚約祝いのプレゼントにも使えます。
下はまちキュンご当地の婚姻届です。
ご当地婚姻届・千葉県浦安市
まちキュンご当地の婚姻届は無料ですが、ダウンロードするには、15個ほどあるアンケートに答える必要があります。浦安市だけではなく、様々なご当地デザインの婚姻届がありますので一度のぞいてみるのもいいと思います。(下記画像をクリックするとまちキュンご当地婚姻届のサイトに飛びます。)
尚、ダウンロードして使用する場合には、「A3用紙のサイズ」と決められています。そのため家庭用プリンターでは印刷できない場合がありますので、セブンイレブンなどのマルチコピー機を使ったネットプリントがオススメです。
婚姻届の受付時間
婚姻届は役所で年中無休、24時間受付してくれます。ただし、24時間とはいえ、いつでも通常の窓口が開いているわけではありません。
この場合には夜間窓口等で受付けはしていただけますが、その時は預かるだけで、後日に係りの者が確認し、不備がなければ受付日にさかのぼって受理されることになります。
また、郵送での届出も可能です。この場合には、本人確認ができませんので、申請書類等一式を役所に郵送 → 書類審査 → 受理決定 → 届出人に通知書発送。このような流れになります。
婚姻届の提出先や時間についてはこちらのページでも紹介しています。
婚姻届の料金
婚姻届の届出にはお金は掛かりません。死亡届と同じで無料です。
婚姻届の提出に必要なもの
婚姻届書だけを提出すれば手続は完了ではありません。その他に以下のような書類が必要です。
- 届出地が本籍地でない場合は、戸籍謄本(こせきとうほん、夫婦になる方各1通ずつ※)
- 届出書を持参される方の運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
- 未成年者が婚姻をする場合には父母または養父母の同意書
- 夫婦双方の印鑑(一方は旧姓のもの)
- 通知カードたは個人番号カード(記載事項変更の方のみ)
- 住民基本台帳カード(カードをお持ちで記載事項変更の方のみ)
※夫の婚姻前の本籍地と婚姻後の本籍地、婚姻届を提出する役所もすべて同じで、妻の本籍地が違う場合には、夫の戸籍謄本の添付は省略できますが、妻の戸籍謄本(全部事項証明書)は必要です。
添付書類は戸籍謄本ではなく戸籍抄本でも大丈夫?
先ほど必要書類に戸籍謄本(全部事項証明書)としましたが、戸籍抄本でも大丈夫です。戸籍抄本(こせきしょうほん)とは戸籍謄本の一部(通常はひとりの者)の写しになります。一部事項証明書とも言います。
戸籍謄本とは?
婚姻届の提出するときに初めて「戸籍謄本」を入手される方が多いのではないでしょうか。そこで基本的なことにふれておきます。
戸籍謄本の形式は下にあるような画像のものになり、各役所によって異なります。
縦書きのものは電算化されていない形式のもので、横書きは電算化が導入されている形式です。本籍のあるところの役所が電算化されていれば横書きです。
また、戸籍謄本の名称についてですが、「全部事項証明書」という名称を用いている役所もあります。
さらに、戸籍謄本(全部事項証明書)と似た用語に「除籍謄本」があります。婚姻届とは関係ありませんが、除籍謄本とは、死亡したり、結婚したりして除籍され、その戸籍に誰もいなくなった状態の謄本をいいます。
ここでは、画像にある赤い線や印は関係ありません。
戸籍謄本には何が記載されているの
戸籍の記載については「戸籍法第13条」で決められています。
第一三条 戸籍には、本籍の外、戸籍内の各人について、左の事項を記載しなければならない。一 氏名
二 出生の年月日
三 戸籍に入つた原因及び年月日
四 実父母の氏名及び実父母との続柄
五 養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
六 夫婦については、夫又は妻である旨
七 他の戸籍から入つた者については、その戸籍の表示
八 その他法務省令で定める事項
法庫.com
つまりは、本籍、筆頭者の氏名、出生日、届出日、父、母の名前、続柄などが記載されています。その他に、婚姻された方は、いつ誰と婚姻し、新戸籍はどこなのか、亡くなった方については、死亡日と誰の届出により除籍されたかなどが記載されています。
縦書きの戸籍謄本では除籍されると名前のところに✕印がつきます。このことから離婚した方のことを「バツイチ」と言うようになったと言われています。
婚姻届の提出先は決まっています
婚姻届はどこの役所にでも提出できればいいのですが、一応決められています。
提出できる役所
下記のうちいずれかに提出できます。
- 夫の本籍地
- 妻の本籍地
- 結婚後の新たな本籍地
- 夫の現在の住所地
- 妻の現在の住所地
- 結婚式を挙げた場所の役所戸籍窓口
婚姻届を提出するまでの流れ
ここまでご覧いただくとおおよその流れはご理解いただけたかと思いますが、改めて流れを確認しておきましょう。
- 婚姻届を役所からもらう。もしくはダウンロードしてA3用紙に印刷をする
- 戸籍謄本(こせきとうほん)、または戸籍抄本(こせきしょうほん)を取り寄せる(必要な方のみ)
- 20歳以上の証人2名に署名と捺印をもらう
- 婚姻届に夫婦お互い各欄にもれのないよう記入する
- 役所に提出する。または郵送をする。
婚姻届の書き方について検証
下記の画像は、婚姻届の書き方の見本です。画像をクリックすると法務省サイトのPDFにてご覧いただけますが、これを見てもピンとこないと思いますので、書き方のポイントについては下記で説明しています。
婚姻届の記載項目
婚姻届には、記載項目が11個あります。それではひとつずつご説明します。
①届出日
届出日は、役所に提出する日を記入しますが、この日が「入籍日」です。
そこでたくさんの人が考えるのが、思い出の日や記憶に残りやすい日に提出したいです。
例えば、3月3日や7月7日、11月11日などのぞろ目。バレンタインデー、クリスマスなどのイベント日などです。こういった日は役所窓口が普段よりも混雑することは知っておいたほうがいいです。
入籍とは?
結婚する前は、親の戸籍に入っていますが、婚姻届が受理されると、親の戸籍からは除かれるので「除籍」となります。そして夫婦で新しい戸籍が作られるので「入籍」となります。夫がバツイチで筆頭者となっている場合には、すでに戸籍があります。なのでこの場合は、妻がそこに入籍します。
②氏名と生年月日
ここの欄には、夫になる人と妻になる人の氏名とそれぞれの生年月日を記入します。
氏名は、婚姻前のもの(旧姓)を書きます。
③住所と世帯主の氏名
住所についても夫婦お互いの住民登録をしている住所と世帯主の氏名を書きます。
住民票の通りに記載します。例えば住所ですが、3丁目20番地を3-20と記載してはいけません。
DAIGO 妻・北川景子との「婚姻届書き直し事件」を告白のlivedoor NEWSの記事。これには住所の記載間違により書き直した失敗談が掲載されています。
④本籍と筆頭者
夫婦お互いの本籍と筆頭者の氏名を書きます。
本籍や筆頭者については、戸籍謄本をみれば出ています。戸籍謄本が必要のない方は、運転免許証などで本籍は確認ができます。ただし、ICチップが付いている運転免許証には本籍が記載されていませんので、古い運転免許証を保管してないと確認することができません。
今日の日付で入籍をしたいためにすでに婚姻届への記入が終わっていたとしても手元に戸籍謄本がない場合もあります。この場合は、後日の提出でも大丈夫ですが、提出をしないと戸籍の編製ができないために自分達の戸籍謄本を取ることはできません。
筆頭者とは、戸籍の始めに記載されている方をいいます。一般的には、子どもから見ればお父さんが筆頭者になっていますが、母親の姓を名乗っている場合は、お母さんが筆頭者になっています。
⑤父母の氏名と続柄
ここの欄への記入は、特に問題ないと思いますが、父母が婚姻中であれば母の性は書きません。
続柄は、長男、次男、長女、次女などを書きいれます。
⑥婚姻後の夫婦の氏・新しい本籍
現状は、夫婦どちらかの氏を名乗ることになっていますので、「夫の氏」にするのか、「妻の氏」にするのか、どちらかにチェックを入れます。新しい本籍については、どこの住所にしても問題ありません。
例えば、東京都千代田区千代田1-1-1。この住所は「皇居」になりますが本籍にしても問題ありません。実際にはたくさんの方が本籍にされているようです。さらに国会議事堂やディズニーランド、富士山なども人気があるようです。
これを見て、「それなら自分も有名な住所にしておけばよかった」と思われた方は、役所に行って「転籍届(戸籍の本籍を変更するときの書類)」を出せば変更もできますよ。その際には、戸籍謄本が1通必要になります。転籍届の書き方についてはこちらのサイト(外部)をご覧ください。
⑦同居を始めたとき
用紙に説明文もありますが、ここには、結構式をあげたとき、または、同居をはじめたときの早いほうを書きます。
⑧初婚・再婚の別
夫婦お互いに、初婚か再婚かをチェックします。再婚の場合には、死別か離別かの区分と年月日の記入があります。
この年月日というのは、男性には再婚禁止期間がありませんが、女性の再婚について再婚禁止期間があるためです。女性の再婚禁止期間については、以前は6ヶ月ありましたが、平成28年6月7日から新しい法律が施行され、100日間に短縮されています。
⑨同居を始める前の夫婦それぞれの世帯の主な仕事
夫婦それぞれで該当する職業にチェックをいれます。
⑩届出人署名と押印
夫婦それぞれの箇所に署名と捺印をします。
⑪証人の欄
婚姻届は、実際には、夫婦の署名と捺印だけで届出をしてもだめなんです。民法第739条2項にあるように、「当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で・・・」となっているからです。
証人は、夫の親、妻の親、それぞれの兄弟、友人などに頼むのが一般的です。
ここは証人の欄であって、保証人ではありませんから、依頼するときに「保証人をお願いします」なんて言ってしまわないようにお気をつけください。(笑い)
婚姻届は訂正できるの?
上記で説明した項目に記入するわけですが、間違えて記入してしまうことも当然あります。このようなときは二重線で消して正しい内容を記入します。
ただし、ここには訂正印はいりません。欄外に訂正印を押す枠がある場合には、そこに届出人欄の印鑑と同じものを押します。枠がない場合には、左側の欄外に押します。なお、修正液や修正テープなどは使用してはいけません。
まとめ
婚姻届は、役所の本庁などで365日24時間受付してもらえます。
ただし時間外ですと預かるだけになり、開庁時に係りの者が確認して不備がなければ、その日にさかのぼって正式な受付となります。
提出にあたっては、戸籍謄本(全部事項証明書)や届出書を持参される方の運転免許証やパスポートなどの本人確認書類、夫婦双方の印鑑(一方は旧姓のもの)などが必要になります。婚姻が未成年の場合には、父母(養父母)の同意書も必要です。
戸籍謄本についてですが、夫婦とも届出地が本籍地の場合には、戸籍謄本は不要です。どちらか一方の本籍と届出地が違う場合には、その違う方の戸籍謄本が必要です。
婚姻届は、本人たちだけが署名・捺印しただけでは受付をしてもらうことができません。20歳以上の証人2名の署名と捺印をしてもらうことになりますので、あらかじめ頼んでおくことも大事です。
以上、「婚姻届の書き方のポイントや必要書類となる戸籍謄本について学ぶ」でした。
婚姻届の受理証明書って何?どうやって入手するの?についてはこちらのページをご覧ください。