父子家庭に対しての助成金や所得控除など国や各自治体が独自でおこなっている制度について取上げました。
2015/08/06 14:48:06
ひとり親家庭(父子家庭・母子家庭)の全体像
ひとり親家庭(父子家庭・母子家庭)の全体像についての確認から。
2011年度「全国母子家庭等調査」によりますと、
- 母子家庭は123万8000世帯
- 父子家庭は22万3000世帯
という状況です。
つまり「ひとり親世帯」の7世帯に1世帯は父子家庭です。
ひとり親家庭(父子家庭・母子家庭)の収入状況と会社の評価
収入については、母子家庭の年間平均就労収入は181万円で父子家庭では360万円です。
母子家庭よりも収入は多いです。
会社側の評価としては、
- 出張や転勤が難しい
- 早出や残業も難しいなど
があるため厳しいものがあるようです。
父子家庭の児童扶養手当や税金の減免や割引制度
父子家庭に対しての税金や減免制度、国や自治体が行っている割引等についての制度をご紹介します。
児童手当
父子家庭に限った手当ではありませんが、児童手当があります。
支給対象は、0歳から15歳までで国内に住所がある児童となっています。15歳とは中学修了の年度末(三月末)までをいいます。
対象年齢 | 支給額(月額) |
0歳から3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳から小学校修了まで | 10,000円(第1子・第2子)第3子以降15,000円 |
中学生一律 | 10,000円 |
所得制限世帯(約960万円以上) | 5,000円 |
児童手当はいつ支給される
支給される時期については、毎年6月(2月分~5月分)、10月(6月分~9月分)、2月(10月分~1月分)というように支払われます。
おおむね支払い月の12日頃までに振込されます。
ただし6月1日時点で条件を満たしているかどうかの判定をするので、毎年住んでいるところの市区町村に現況届けを出す必要があります。毎年6月には役所から郵送されてくるので月末までには提出する必要があります。
尚、母子家庭の方が再婚(結婚)して氏名が変更になったり、転居をした場合でも届出をする必要があります。また転居が市外の場合には、移転先の市区町村役場の転出した日の次の日から数えて15日以内に、必ず転入先で申請をしておく必要があります。この15日を過ぎてしまうと遅れた月分の児童手当は支給されなくなってしまいますのでご注意ください。
児童手当の所得制限について
児童手当には所得制限があります。扶養親族の数によって所得制限が違ってきます。以下の表をご覧ください。
扶養親族等の数 |
所得額 |
収入の目安金額 |
0人 | 630万円 | 833.3万円 |
1人 | 668万円 | 875.6万円 |
2人 | 706万円 | 917.8万円 |
3人 | 744万円 | 960万円 |
4人 | 782万円 | 1002.1万円 |
以降ひとり増すごと | 38万円を加算します | - |
※所得制限限度額以上である場合は、子どもの人数や年齢区分にかかわらず、子ども1人につき月額5,000円が支給されます。
※ 所得額とは収入とは違います。収入から所得控除等を差引いた金額になります。尚上記の所得額には定額控除となる8万円を加えてあります。
児童手当の扶養親族等の数について
父子家庭でいう「扶養親族等の数」とは、子どもや親、兄弟で年間所得が38万円以下で生計をともにしている人数と血は繋がっていないが、養育している子どもの合計の人数をいいます。
たとえば、父子家庭において、小学生の子ども2人を養育していて、本人の母親も同居しているというケース。母親に所得はあるが年間所得が38万円以下という場合には、扶養親族等の人数は、3人になります。もし、母親が年間所得38万円を超えていれば扶養親族等の人数は2人になります。
上記表の扶養親族等の数が「0人」というのは、現在は子どもが生まれているが、昨年の12月31日時点において生まれていなかった場合には扶養人数には算入しません。そのため、他に扶養親族等がいなければこういうケースは「0人」になります。ですので父子家庭においては関係ありません。
児童扶養手当
児童扶養手当は、国が行っている制度です。
- 父母が離婚した児童
- 父または母が死亡した等で片親に育てられている子など
いわゆるひとり親家庭(母子家庭や父子家庭)に対して支給される手当です。
支給対象者は0歳から18歳に到達して最初の3月31日(年度末)までの間にある者とされています。
なお、愛の手帳1度から2度および3度程度、身体障害者手帳1級から3級の障害がある場合は20歳未満。
児童扶養手当の金額について
支給区分は、3つに分かれています。支給額は以下の表のとおりです。
- 全額支給
- 一部支給
- 不支給
収入が多いなどで不支給に該当されると児童扶養手当はまったく支給されません。
全部支給の場合(平成30年4月~31年3月まで)
全部支給される場合とは、扶養親族の人数と受給者の所得制限限度額が関係してきます。
児童の人数 |
支給額 |
児童1人の場合 |
月額42,500円 |
児童2人の場合 |
月額52,540円 |
児童3人の場合 |
月額58,560円 |
児童3人目以降、1人増えるごと |
月額6,020円加算 |
児童扶養手当が一部支給の場合の計算式
平成30年4月改正
児童1人のときの月額=42,490円-(受給者の年間所得額※1-所得制限限度額※2)×0.0187630
児童2人目の加算額=10,030-(受給資格者の所得額※1-所得制限限度額※2)×0.0028960
児童3人目以上の加算額=6,010-(受給資格者の所得額※1-所得制限限度額※2)×0.0017341
※1 年間就労所得から諸控除を引いた金額
※2 所得制限限度額表の「父、母又は養育者」欄の「全部支給の所得制限限度額」の金額
児童扶養手当の詳細は、
をご覧ください。
児童育成手当
都道府県単位で独自の制度です。
ここに記載した金額は東京都の手当です。都内に住所があり、下記のいずれかに該当する子供(18歳になった最初の3月31日まで)を扶養している方に支給されます。
- 父母が離婚
- 父または母が死亡
- 父または母が生死不明
- 父または母に1年以上遺棄されている
- 婚姻によらないで生まれたなど
支給額について
月額子供1人につき13,500円となっています。
所得税や住民税を安くできる控除があります
所得から差引くことができる控除として、寡夫控除(かふこうじょ)というものがあります。
控除できる金額は27万円です。住民税については26万円を控除できます。
寡夫控除とは
寡夫控除(かふこうじょ)とは、妻と死別し、もしくは離婚した後婚姻をしていない男性が受けられる所得控除です。控除できる金額は27万円です。
ただし合計所得が500万円以下という条件はあります。合計所得と収入は違いますのでご注意ください。給与所得のみであれば所得控除後の金額になります。
尚、「寡婦控除」とは違いますのでご注意ください。寡婦控除については、母子家庭が関係してきます。詳細はこちら
住民税の減免
父子家庭に限りませんが、生活保護を受けることとなった場合や所得が前年と比べて半分以下になった場合には減免になります。詳細はお住まいの市町村へお問い合わせください。
国民健康保険・国民年金の免除
父子家庭に限った制度ではありませんが、国民健康保険には減免措置があります。
前年より所得が大幅に減った場合や病気で生活が困難になった場合に減免や軽減措置が用意されています。
尚、申告の必要はありません。
前年中の所得金額合計が下記の金額以下の世帯 | 減額割合 |
---|---|
33万円 | 7割 |
33万円+(245,000円×国民健康保険加入者数) | 5割 |
33万円+(45万円×国民健康保険加入者数) | 2割 |
国民年金については、所得がない、所得が少なくて保険料を納めることが困難という方は、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除という4つの区分免除が用意されています。
詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
電車やバスの割引制度
児童扶養手当等を受給している方を対象にしている各自治体の制度です。各自治体ともJR通勤定期乗車券は3割引に設定している自治体が多いです。
東京都調布市の場合では、児童扶養手当を受けている世帯のうちの1人に,都電荒川線、都営バス、都営地下鉄、日暮里・舎人ライナーの無料乗車券が交付されています。
電車やバスの割引制度の手続きについて
生活保護世帯の方は福祉事務所で、児童扶養手当受給世帯の方は区市町村(子ども担当)の役所窓口で資格証明書の交付を受け購入時に提出します。
詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
父子家庭の住宅手当
ひとり親家庭において支給している手当です。しかしながら極限られた市町村の制度になっています。支給しているところでは概ね1万円を限度にしていますが要件もありますので各自でお住まいの市町村役場等にお尋ねください。
粗大ごみの手数料も減額
父子家庭で児童扶養手当または特別児童扶養手当の支給を受けている方や生活保護を受けている方は減額や免除があります。こちらも区市町村の制度ですので詳しくはお住まいの市町村役場にお尋ねください。
上下水道料金も安くなります
父子家庭で児童扶養手当および特別児童扶養手当を受けている世帯に対して、上水道料金・下水道料金の基本料金等を減免してくれる制度です。こちらも詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
調布市の例
上水道・下水道料金の減免
保育料の免除や減額
保育料については、保育所入所児童の4月1日時点の年齢と保護者の前年の所得税額または住民税額によって決まります。
中でも父子家庭などのひとり親家庭で所得が低い市民税非課税世帯については無料や減免としている自治体があります。
詳しくはお住まいの自治体にお尋ねください。
ひとり親家庭には養育費に車
朝日新聞デジタルに以下のような記事がありました。
島根県浜田市では、平成27年4月から高校生以下の子どもがいる父子家庭や母子家庭に以下の制度をうちだしています。
市内の介護事業所と契約を結べば、転居費などの一時金が30万円支給され、月給は15万円以上、市から養育費3万円、さらに1年間働けば一時金として100万円が支給される。また車がない人には中古だが、トヨタのネッツを無償提供。車両整備費20万円は市が負担。
さらに住まいは月1~3万円の公営住宅を確保し、空きがなければ民間賃貸を紹介し2万円を上限に半額を補助。
1年限りとなっていますが、総額で経済支援は400万円超という厚遇ぶりです。
それでも定住をしていただけるならよしということでしょうか。
父子家庭の助成金や免除などのまとめ
父子家庭にも母子家庭と同じように助成金などの様々な制度が用意されています。
国が行っている児童手当や児童扶養手当。各自治体が独自に行っている住宅手当、上下水道料金の割引、保育料の割引等などもあります。
お住いの自治体によって受けられるサービスに違いがありますが、上手に活用してみてはいかがでしょうか。
以上、「父子家庭の助成金や税金控除、割引制度には何があるの」でした。