シングルマザーが再婚したときに行う手続き
シングルマザーが再婚するにあたって、実務上おこなう必要がある社会保険等に関する手続きとその他関連する手続きと手順について解説します。
シングルマザーが再婚(結婚)するとなると、ご存知の通り、役所に婚姻届を出すのが最初に行います。この手続については、一度は経験済みのことと思いますので説明は省きます。
主な市役所等の手続きとしては、世帯主の変更があれば戸籍住民課に住民票の届出。引っ越しにより住所が変わる場合には転出届が必要です。
いずれにしても最初に役所にいって手続きをしないことには他の手続きも進めることができません。その際に同時に以下の児童扶養手当・児童育成手当・ひとり親家庭医療費助成制度の手続きもしましょう。
2015/06/02 19:01:02
児童扶養手当・児童育成手当・ひとり親家庭医療費助成制度の手続き
シングルマザーが再婚(結婚)することにより、児童扶養手当・児童育成手当・ひとり親家庭医療費助成制度の受給資格がなくなります。そのため資格喪失届の提出をします。
他に行なう手続きとしては、社会保険(健康保険や厚生年金)や国民健康保険などの届出きです。
国民健康保険から夫の健康保険の被扶養者になる。あるいは国民年金第1号から国民年金第2号被保険者などに変更するためです。
会社に勤めて健康保険や厚生年金等に加入しているシングルマザーの場合
会社に勤務しているシングルマザーの方が再婚(結婚)した場合についての手続きについての説明です。
会社にお勤めであれば、健康保険については、健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険組合、派遣健保のいずれかに加入していると思います。
そして、労災保険や雇用保険、厚生年金(共済年金)にも加入しているはずです。
これら加入しているものに届出をする必要があります。届出を出すといっても、必要書類をそろえて書類さえ提出すればあとは会社が行なってくれます。
各届出に必要な書類
- 健康保険:健康保険証と被保険者氏名変更(訂正)届等
- 共済・厚生年金:年金手帳と被保険者氏名変更(訂正)届等
- 雇用保険:雇用保険被保険者証、雇用保険被保険者氏名変更届
変更届は会社で用意していただけますが見本としてリンクを貼っておきます。雇用保険被保険者氏名変更届
労災保険:保険料はすべて会社負担となっているため、個人に交付されている被保険者証等はありませんので会社が手続きをおこなってくれます。
例として、協会けんぽに加入している方は平成27年5月現在での届出は以下の様式になっています。
協会けんぽ・厚生年金の被保険者氏名変更(訂正)届
ということで、会社に勤めている方は、事業所の事務担当者(事業主)へすみやかに指定された方法で行わなけばいけません。
夫の扶養に入る場合
再婚(結婚)して、夫の扶養となる場合には勤務している事業所の事務担当者(事業主)へ夫から届出をしてもらうことになります。
扶養となるケースは、再婚により仕事をやめて第3号被保険者※になる、あるいは収入を年間130万円未満に抑えて働くようにする場合があります。この場合は、夫の健康保険や共済・厚生年金に入れますので会社に手続きをしてもらいましょう。
※公的年金の第1号、第2号、第3号被保険者とは?
- 第1号被保険者は、自営業者や学生、フリーター、無職で20歳以上60歳未満の方。
- 第2号被保険者は、サラリーマンや公務員等で共済年金、厚生年金に加入し給与天引きされている方。
- 第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者の方。
社会保険の扶養に入るには上記の書類に加えて、収入を証明するものや戸籍謄本の原本、自営(農業等含む)による収入や不動産収入等がある場合には直近の「確定申告書の写し等」が加わります。
国民健康保険や国民年金に加入しているシングルマザーの場合
国民健康保険に加入しているシングルマザーの方は、各自お住まいの市役所や役場の窓口に氏名変更などの届出(国民健康保険脱退届)をしなくてはいけません。
同じ市町村内で住所が変わる場合も届出は必要です。
この場合は、14日以内に届出をする必要がありますが、住民票など他の手続き時に市町村役場に出向いたときに同時に行なったほうが効率的です。
ただし、再婚(結婚)により、他の市町村に転居して、再び引っ越し先の市町村で国民健康保険に加入する場合には、まず現在お住まいの市町村役場に行って転居届を出します。その際に国民健康保険をやめる手続き(国民健康保険脱退届)と国民健康保険証を返却する必要があります。
その後、前の役所が発行した転出証明書や本人確認書類等を持って引っ越したところの市町村役場に行き、引っ越してきた日(住み始めた日)から14日以内に転居届や国民健康保険の手続きをします。
国民年金加入者が引っ越しや氏名変更をする場合
国民年金に加入しているシングルマザーが再婚(結婚)にあたって他の市区町村に引っ越しをするケースもあります。
この場合には、役所には転居届を出すため国民年金については別途手続きは不要です。引越し先の市町村役場でも転入届出をする際に、前の市区町村役場が発行した転出証明書に基礎年金番号の記載があれば手続きをする必要がありません。
また再婚により氏名変更があった場合ですが、やはり戸籍の届出を出すので国民年金の手続きを別途する必要はありません。年金手帳の氏名欄は自分で記入すればOKです。
国民健康保険、国民年金とも手続きには忘れずに印鑑も持参してください。
夫の扶養に入る場合
国民健康保険に加入しているシングルマザーの方が再婚により夫の健康保険に加入する場合。夫が国民健康保険に加入しているので夫を世帯主とした被保険者となる場合にも届出手続きをしましょう。
いずれも、国民健康保険を脱退する手続きをしましょう。
本人の健康保険を脱退して夫の健康保険の被扶養者になる
再婚と同時に会社をやめて夫の健康保険の被扶養者になる。この場合は、資格喪失証明書を発行していただく必要があります。
詳しくは、こちらの健康保険資格喪失証明書とは?どこで発行してくれるの?退職と関係あるの?をご覧ください。
夫の厚生年金や共済年金等に入る場合の手続き
現在、第1号被保険者であって、今後扶養となり第3号被保険者になる場合。夫が事業所に被扶養者異動届を提出するだけ大丈夫です。国民年金に届出をする必要はありません。
この場合の必要書類として、収入を証明するものや戸籍謄本の原本、自営(農業等含む)による収入や不動産収入等がある場合には直近の「確定申告書の写し」などが必要です。
銀行預金口座の手続き
銀行口座の改姓や住所変更の場合も手続きをしましょう。その際に必要となる書類は以下のものになります。
- 通帳・証書
- キャッシュカード
- 届印(口座ごとに異なる印鑑の場合はすべて)
- 新しく届けをする印鑑※シヤチハタ印はダメ。
- 新氏名が記載された以下のいずれかの確認書類
- 運転免許証
- パスポート
- 各種健康保険証
- 外国人登録証明書・在留カード・特別永住者証明書
- 住民票 [住民票記載事項証明書] (生年月日が記載されているもの)
- 戸籍謄(抄)本・戸籍記載事項証明書
クレジトカードへの手続き
氏名、住所変更によりクレジットカードも手続きが必要になります。
書類はコールセンターに電話したり、インターネットから書類を取り寄せましょう。
書類として、本人確認書類が必要になります。
運転免許証の名義変更や住所変更
再婚して名義や住所が変更になった場合に運転免許証の氏名変更手続きを行います。
運転免許証の氏名変更手続きは、住所を管轄する運転免許試験場、免許センターもしくは警察の運転免許課などで手続きをすることができます。
尚、運転免許証の氏名変更手続きと住所変更のどちらも手数料は無料です。
必要な書類
必要な書類は名義変更と住所変更では書類が異なります。
名義変更の場合
- 運転免許証
- 住民票:本籍が記載されている住民票(コピー不可)
- 印鑑
- 外国人の場合は外国人登録証
住所変更の場合
- 運転免許証
- 住民票:本籍が記載されている住民票、もしくは新住所の健康保険証、消印付郵便物、住所が確認できる公共料金の領収証
- 印鑑
- 外国人の場合は外国人登録証
- 他の都道府県から引越して来た場合は写真が必要になります。写真一枚(縦3.0cm×横2.4cm)
パスポートの手続き
氏名や本籍が変わることによりなるべく早く手続きをしておきましょう。
手続きできる場所は住民登録をしている都道府県の旅券担当窓口です。
生命保険や共済の手続き
再婚(結婚)により、生命保険や共済の改姓や受取人変更、届出印の変更、住所変更、引落し口座等の変更手続きもしましょう。
改姓については、運転免許証、パスポート、健康保険証、住民票の写し、戸籍謄本等の公的書類が必要になります。受取人変更については、契約者、被保険者とも公的書類が必要です。
また、ご自分の生命保険以外に、親が契約している場合にはそれらの改姓手続き、また学資保険の改姓、損害保険として自賠責保険や自動車保険などを契約している方はそれらの手続きもしましょう。
詳しくは契約されている保険会社にお問合せください。
スマホや携帯電話の手続き
スマホや携帯電話も改姓や住所変更をされた場合は郵送やショップに行って手続きをします。
必要書類等
以下はauの場合です。
- 新しい名前の印鑑 (変更前の名前の印鑑でも可)
- 電話機本体(auICカード対応機の場合は、au電話機本体+ICカード)
- 運転免許証や健康保険証等の書類
車の車検証の手続き
車を持っている方は車検証の改姓が関係してきます。
結婚により改姓となった場合には、「車検証の氏名変更」をします。届出をするところは住所を管轄している運輸支局になります。
所有者と使用者が同一名義の場合
手続きをする際の書類については自分で行なう場合とお店に依頼する場合では書類が異なってきます。
自分で行なう場合の書類
- 戸籍謄本
- 車検証
- 手数料納付書(運輸支局窓口でもらえます)
- 自動車税・自動車取得税申告書(運輸支局に隣接する税事務所でもらえます)
- 申請書(OCR用紙、運輸支局や隣接する用紙販売窓口で販売しています)
お店に依頼する場合
- 戸籍謄本
- 車検証
- 委任状
- また、氏名変更だけでなく、住所も変更する場合は住民票も必要になります。
その他に、所有者と使用者が異なる場合の手続きは書類が異なってきます。詳しくは以下の車検と車の手続き案内センターに詳しくでていますので以下のサイトをご覧ください。
車検と車の手続き案内センター
その他の手続き
結婚による転居にともない、電気やガス、水道などの公共料金などの手続き、また郵便物の転送手続きも郵便局にしておきましょう。
最後になりましたが、会社にお勤めのシングルマザーは、職場にも結婚届けを忘れずに出さなくていけませんよ・・・。
シングルマザーの再婚に伴う手続きのまとめ
シングルマザーが再婚(結婚)することにより、結婚届、住民票、社会保険、銀行口座、クレジットカード、生命保険、スマホや携帯電話、運転免許証、車検証の氏名変更の手続きをする必要があります。また転居する場合には、電気やガス、水道などの公共料金と郵便局への転送届の手続きも必要になります。
母子家庭の関連記事
母子家庭の手当やシングルマザー支援制度など掲載。2016年版
ズバリ解説!母子家庭の自立支援給付金がまるごとわかるページ
児童扶養手当から受取れる金額と所得制限の関係はどうなっているの?
母子家庭(シングルマザー)の生命保険選びのポイント
母子家庭の住宅手当や家賃補助と住宅ローンについての大事なポイント