マイホームを手に入れるためにほとんどの方は銀行などから「住宅ローン」の融資を受けます。
その際に一部を除いてほとんどの銀行では保証会社を利用することが条件となっています。
当然利用するにはお金を支払うことになりますが、このお金のことを「保証料」と言います。
たいした金額でなければいいのですが、これがバカにならないほど結構な金額になります。
- なぜ銀行は保証料を求めるのか?
- 銀行によって保証料はどのように違うのか
- 保証料の必要がない銀行はどこなのか
- 保証料の返金とは?
などについて解説します。
2017/02/14 11:16:14
保証料とは?
保証料とは、いったい何のためにあるのでしょうか。
銀行は住宅ローンを融資にあたって、
- 年収や職歴
- 完済年齢
- 返済負担率
- 他のローンの返済状況など
これらを総合して融資の可否を判断します。
融資可となった方には、滞りなく返済してくれるだろうということで融資をするわけですが、
住宅ローンは返済期間が特に長いので、
中には失業や病気による離職、ギャンブル、離婚などの理由により返済が滞ることがあります。
こういった返済不能になった場合に備えて銀行では保証会社から一括返済してもらうように備えています。
それが「保証会社を利用する」、「利用してもらう」とことになります。
保証人が不要になる
住宅ローンを借りるほうとしては、保証人を立てなくても保証料という名目のお金を支払って保証会社に保証してもらうことみなります。
そのため一般的には保証人は不要になりますのである意味助かります。
銀行は、あなたが返済不能となっても保証会社から一括して住宅ローンが支払われるわけですから損はありません。この保証会社が銀行に一括返済する行為を「代位弁済」といいます。
もちろん保証会社とて無料で代位弁済をするわけではありません。そのためのお金が保証料になります。
保証会社が返済すれば住宅ローンは終了するのか
上の文章のままですと、保証料さえ支払っておけば、返済不能となったときにそこで住宅ローンは終了すると思えてもしまいますが、そうではありません。
住宅ローン債権は、銀行から保証会社に譲渡されますから、今度は保証会社があなたに一括返済を求めてきます。保証会社はあくまで立替えたにすぎないのです。
一括返済を求められても、返済できないためにローンを滞らせたわけですから普通は一括返済なんてできません。そうなると、保証会社は「競売申し立ての準備」を開始することになります。
では、競売によって住宅ローンは終了するのでしょうか?
残念ながら、答えは「いいえ」です。
競売されてもローン残高よりも売却額が少ないのが普通です。そのため残債額は残りますから、自己破産しない限り返済義務は残ります。
住宅ローンが3ヵ月から半年も返済できなくなると、このような流れになります。
でも、保証料について何か腑に落ちないと思いませんでしたか。
保証は、銀行にとっては万が一の保険を掛けていることになりますが、支払う側としては完済すれば何ら問題ないことですのでほとんど役に立たないお金です。
そうはいっても保証会社を利用することが融資条件になっている場合には仕方ないことですが、中には保証料不要の銀行(下記で紹介しています)もありますから、金利だけでなくこういった点も比較することが大切です。
保証会社を利用したくない
保証料は高いからできれば保証会社を利用しないで保証人を立てたいという方もいます。
ですが、下記以外の銀行等においては、住宅ローン融資を受けるには、「当銀行の所定の保証協会の保証を受けられる方」という条件があるのが普通ですから、このような場合には保証会社を利用しないことはできません。
保証料不要の銀行とは
保証料のいらない銀行や商品がありますので主だった銀行をご紹介します。
- 住信SBIネット銀行
- 新生銀行
- ソニー銀行
- イオン銀行
- 楽天銀行
- 西武信用金庫
- フラット35
他にもあると思いますが、上記の銀行やフラット35においては、保証会社を利用しないため保証料は不要となっています。
次の項目で保証料のタイプについて解説しています。
保証料には2つの支払いタイプがある
住宅ローンの保証料には、呼び方は様々ですが、金利の上乗せタイプ(分割払い)、一括支払いタイプがあります。
銀行によっては、金利上乗せを内枠方式、一括支払いタイプを外枠方式という銀行もあります。
金利の上乗せタイプは、住宅ローン金利に0.2%などを上乗せして分割して支払っていくものであり、一括は借入時に一括支払ってしまうものです。
金利上乗せタイプの0.2%はよくよく考えてみますと、今や優遇金利で0.6%などとなっている超が付くほどの低金利状態ですから、その3分の1を占めることになります。
後の項目で詳しく取上げていますが、保証料は、借入期間や借入額によって違ってきますが、さらに同じ借入期間で、同じ借入額であっても、職業や年収などの信用度合いによって違ってきます。
デメリットとして手数料もかかる
保証料を支払うだけではなくその他に事務手数料が発生します。
この手数料も保証会社に支払うものになります。
各金融機関によって保証料の手数料は異なっていますが、主な銀行で比較してみました。
- 三菱東京UFJ、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行:32,400円
- スルガ銀行:32,400円
- 横浜銀行:32,400円
- 山梨中央銀行:54,000円
- 多摩信用金庫:54,000円
これら事務手数料は、たとえ1年後に全額返済したとしても返金はされません。
消費税との関係
保証料には消費税はかかるものなのでしょうか?
保証料は、非課税取引となっているため消費税はかかりません。
保証料一括払いなら返金される?
住宅ローンの繰上げ返済を行ったとしましょう。
この場合には、保証料を一括払いしている方は、支払ってからの経過によって返金されます。
返金額は保証会社によって所定の利率・計算方法は異なりますが、保証会社への事務手数料が控除され返金されてきます。
住宅ローンの借換を行った場合でも、全額返済と同じになりますので、同じように計算されて未経過分が返金されてきます。
ただし返金額はあくまで未経過分となりますので、返済期間終了に近いところで全額返済されてもほとんど返金はありません。返金されるまでは、返済を行ってからおおよそ1~2ヵ月かかります。
保証料の返金事例
全国保証株式会社の案内に保証料の返金事例が載っていましたのでご紹介します。
借入金額3,000万円、借入期間30年で15年経過時点で全額繰上げ返済した場合の事例です。
一括前払い方式で支払った保証料は578,910円(平成27年4月1日現在)。事務手数料は含んでいません。
経過月数 | 24ヵ月 | 36ヵ月 | 48ヵ月 | 60ヵ月 | 120ヵ月 | 180ヵ月 |
---|---|---|---|---|---|---|
未経過保証料 | 494,965円 | 454,660円 | 416,654円 | 380,849円 | 231,775円 | 125,749円 |
返戻保証料 | 445,468円 | 386,461円 | 312,490円 | 285,636円 | 173,831円 | 94,311円 |
返戻率 | 76.9% | 66.8% | 54% | 49.3% | 30% | 16.3% |
※未経過保証料に対して返戻保証料が少ないのは、保証解約料が控除されるためです。
※返戻率は、578,910円に対してのパーセンテージです。
なお、実際に振込まれる保証料は、振込手数料の分が差し引かれます。
保証料っていくらくらい(だいたいの相場)
保証料とひとくちに言っても、様々な要件で異なっています。
- 金融機関ごとに違う(利用する保証会社が違うため)
- 返済方法で違う(元利均等返済と元金均等返済では違ってくる)
- 借入期間で違う(借入期間が長いほど保証料は高くなる)
- 一括前払い(外枠方式)と金利上乗せ型(内枠方式)で違う
- 審査によって違う
審査によって違うというのは、年収や返済負担率、完済年齢など人それぞれ違っています。そのため保証料も一律ではなく幅があります。
たとえば、三井住友銀行の保証料を見てみましょう。
こちらの銀行では、元利均等返済で返済期間が25年ならば保証料は「17,254円~69,018円」。35年ならば「20,620円~82,437円」というように幅があります。このように保証会社の審査によって保証料は異なってきます。
主な銀行の例
一括前払い(外枠方式)の場合の保証料を主な銀行で比較してみました。
〈元利均等返済・借入金額3,000万円の例〉
金融機関名 |
返済期間 |
||
15年 |
25年 |
35年 |
|
みずほ銀行 | 359,460円~1,258,350円 |
517,620円~1,812,180円 |
618,330円~2,164,410円 |
三井住友銀行 | 359,460円~1,437,540円 |
517,620円~2,070,540円 |
618,600円~2,473,110円 |
ろうきん | 不明 |
不明 |
444,180円~710,670円 |
JA | 179,760円~718,920円 |
258,930円~1,036,560円 |
309,270円~1,236,840円 |
ろうきんは、団体会員の構成員の方の保証料です。
JAは、保証会社を共同住宅ローンとした場合の保証料です。
※金利上乗せ型(内枠方式)は、一般的には融資金利に0.2%が上乗せになりますが、ろうきんのように「年 0.14%~0.36%」のところもあります。
一括前払い(外枠方式)と金利上乗せ型(内枠方式)ではどちらが得なの?
保証料の支払いには、一括前払い(外枠方式)と金利上乗せ型(内枠方式)があると説明しましたが、それではどちらにしたほうがお得になるのでしょうか。下記の条件で比較してみました。
- 返済方法:元利均等
- 借入額:3,000万円
- 借入期間:30年
- 金利:0.6%
- 保証料率:0.2%
月の返済額と保証会社保証料、返済総額+保証料では下記のようになります。
ローン返済月額 |
保証料 |
返済総額 +保証料 |
|
---|---|---|---|
一括払い方式 | 91,078円 |
574,110円 |
33,362,384円 |
金利上乗せ方式 | 93,760円 |
965,901円 |
34,719,537円 |
※ 金利上乗せ方式の保証料は、毎年払い(定率0.2%)で計算しています。
やはり金利上乗せ方式よりも一括前払い型のほうが返済総額+保証料で1,357,153円お得になり有利です。
それでは、一括前払い型は先に574,110円支払うのですからこの分を融資額から減らすことができるとも考えられます。
つまり、3,000万円の借入ではなく、2,943万円とし、保証料を金利上乗せにした場合です。
計算してみましたら、保証料の総額は、938,750円になりました。少し保証料は減らすことができましたが、一括前払い方式には及びません。
ところが、下表のように保証料を含めた返済総額では、33,104,022円になりましたので、一括前払い方式よりも少なくなります。
〈借入金額を2,943万円にした場合〉
ローン返済月額 |
保証料 |
返済総額 +保証料 |
|
---|---|---|---|
金利上乗せ方式 | 89,348円 |
938,750円 |
33,104,022円 |
いかがでしょうか。
このように考えると保証料は必ずしも一括前払い方式のほうが有利とはいえません。
まとめ
住宅ローンの保証料とは、借りた人の返済不能に備えて銀行では保証会社から返済してもらうように備えています。そのために保証会社に支払うお金が保証料になります。
銀行にとっては、返済不能のための保険料ともいえますが、負担するのは借り入れる側になります。
住宅ローン融資の条件として、保証会社を利用することが掲げられている銀行では、利用しないわけにはいきません。
ただし、住信SBIネット銀行やソニー銀行などのネット銀行の住宅ローンでは、そのような条件はありませんので保証料は不要となっています。
保証料は金融機関ごとで異なっていますが、その他に以下の要件でも違ってきます。
- 金融機関ごとに違う(利用する保証会社が違うため)
- 返済方法で違う(元利均等返済と元金均等返済では違ってくる)
- 借入期間で違う(借入期間が長いほど保証料は高くなる)
- 一括前払い(外枠方式)と金利上乗せ型(内枠方式)で違う
- 審査によって違う
以上、「住宅ローンの保証料ってなんですか?」でした。