このページは、生命保険を募集するにあたっての禁止行為について保険業法を含めて掲載しています。
生命保険募集における禁止行為
生命保険募集人の資格試験に合格し、募集人登録が完了すれば保険募集をはじめることはできますが、生命保険を募集するにあたっては禁止行為が細かく定められており、それに抵触しないように保険募集を行う必要があります。
生命保険の募集における禁止行為を基としている法は、①保険業法②保険法③金融商品販売法④金融商品取引法➄消費者契約法⑥個人情報保護法⑦犯罪収益移転防止法という各種法令になります。
虚偽説明・重要事項不説明
保険契約に関する事項について事実と異なる説明をすること(虚偽説明)や保険契約に関する重要事項※について説明を省略したりすること(重要事項不説明)は禁止されています。
なお、募集人の故意ではなく、過失や不十分な知識によって誤った説明をした場合や、不十分な説明でお客様が判断を誤った場合も本禁止行為に該当するおそれがあります。
重要事項とは、商品の仕組み、保障内容、告知、解約返戻金に関する事項等、お客様が保険契約を締結する際、合理的な判断をするために必要とする事項をいいます。
虚偽説明となる事例
- 解約返戻金について、「いつ解約しても払込保険料相当額が返還される」と事実と異なる説明をした。
- がん保険の待ち期間のように、契約後一定の免責期間がある保険について「契約締結後なら、いつでも保険金を支払います」と説明した。
- 手術給付金について、「どんな手術でも支払われる」と事実と異なる説明をした。
重要事項不説明となる事例
- クーリングオフ制度について説明をしなかった
- お客様が商品チラシをご覧になり、申込意思を固められたので、申込手続きを済ませたあとに、「契約概要」「注意喚起情報」を「のちほどお読みください」と言って渡した。
関係法令
保険業法300条1項1号
金融商品販売法3条、5条
消費者契約法4条1項1号・4項
虚偽告知教唆(きょぎこくちきょうさ)、告知妨害・不告知教唆
お客様が告知するにあたって、重要な事項について虚偽のことを告げるようにすすめたり(虚偽告知教唆)、重要な事実を告げるのを妨げること(告知妨害)、重要な事実を告げないようにすすめたりすること(不告知教唆)は禁止されています。
虚偽告知教唆となる事例
危険職種にあたる職業の方に、加入制限にない他の職種を告知するようすすめた。
告知妨害・不告知教唆となる事例
病気治療中にもかかわらず、告知書にはそのことを記入しないようすすめた。
関係法令等
保険業法300条1項2号・3号
刑法159条「私文書偽造(変造)罪」、161条「偽造(変造)私文書行使罪」、246条「詐欺罪」
保険法55条2項2号・3号、84条2項2号・3号
不適切な乗換募集
契約者や被保険者に対して、不利益となるべき事実を告げずに既契約を消滅(解約・失効等)させて新契約の申込みをさせたうえで既契約を消滅させたりすることは、禁止されています。
不適切な乗換募集となる事例
- 既契約を解約して新商品に加入していただいたが、被保険者の健康状態によっては新商品に加入できない場合があることを説明しなかった。
- 多くの場合、解約返戻金は払込保険料の合計額より少額となること、特に契約後短期間で解約した場合は極めて少額(無い場合もある)となることを説明しなかった。
関係法令等
保険業法300条1項4号
金融商品販売法3条
消費者契約法4条2項・4項、5条
特別利益の提供
保険料の割引・割戻し、金品その他特別の利益の提供や、提供を約束することは禁止されています。その対象は契約者・被保険者に限らず、家族なども含むものとされています。
なお、団体契約において、団体の所属員ではないお客さまを団体の所属員として契約手続きを行うことも、保険料が割り引かれたり団体事務費が支払われたりするため、本禁止行為に該当する場合があります。(以下に続く)
特別利益の提供となる事例
- 「保険に加入していただければ第1回保険料はサービスします」と約束して申込みいただいた。
- 保険に加入していただいた契約者に対して、商品券を提供した。
関係法令等
保険業法300条1項5号・8号・9号
保険業法施行規則234条1項1号・3号
誤解を招くおそれのある比較説明・表示
他の商品との比較の中で、誤解されるおそれのある説明や表示をすることは禁止されています。「客観的事実に基づかない事項や数値の表示」や「商品の長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にある短所をあわせて表示しないことにより、全体が優良であるかのような表示」などがこれに該当します。
誤解を招くおそれのある比較説明・表示となる事例
保険料の安さをだけを強調して、他の保険より優れていると説明した。
客観的な根拠を示さずに、「業界No.1」「当社だけ」「業界初」と表示した。
先進医療による治療を給付事由とする特約について、医療機関やその治療内容などにより給付対象とならない場合があるにもかかわらず、給付対象ならない場合を表示しなかった。
関係法令等
保険業法300条1項6号、307条
景品表示法4条「不当な表示の禁止」
不確実事項の断定的な説明・表示
予想配当等、将来において確実ではない事項について断定的な判断を示したり、確実であると誤解されるおそれのある説明や表示をすることは禁止されています。
不確実事項の断定的な説明・表示となる事例
お客様から配当の見通しについて質問を受け、「過去の実績から将来も配当は確保できます」と答えた。
関係法令等
保険業法300条1項7号
消費者契約法4条1項2号
保険業法施行規則233条
金融商品販売法4条
威迫・圧力募集
お客様を威圧的な態度や乱暴な言葉で脅したり、職務上の上下関係を不当に利用するなどして、申込みや既契約を消滅(解約・失効等)させることは禁止されています。
威迫・圧力募集となる事例
- お客様に対して威圧的な態度や乱暴な言葉を使って困惑させ、申込みを迫った。
- お客様が「帰ってほしい」と言っているにもかかわらず、居座り続けた。
- お客様が拒絶の意思を明らかにしているにもかかわらず、遅い時間帯に執拗に電話をかけたり訪問したりして申込みを迫った。
- 取引先に対して、「保険に加入しないなら今後の取引を考えなおす」とほのめかして申込みをさせた。
関係法令等
保険業法300条1項9号
保険業法施行規則234条1項2号
消費者契約法4条3項
独占禁止法19条、20条、25条
刑法130条「不退去罪」、233条「強要罪」、249条「恐喝罪」
誹謗・中傷
特定の保険会社の信用・支払能力等について、その劣っている点を不当に強調したり、特定の保険会社の内容について、具体的な情報を提供する目的ではなく、その保険会社を陥れる目的で短所を不当に強調したりすることは禁止されています。
誹謗・中傷となる事例
格付けやソルベンシーマージン比率が掲載されている雑誌記事を使い、特定の他の保険会社が劣っていることを不当に強調してお客様に話し、自分扱いの保険会社商品へ加入を勧めた。
関係法令等
保険業法300条1項9号
保険業法施行規則234条1項4号
著作権法30条
刑法230条「名誉毀損罪」、233条「信用毀損罪」「業務妨害罪」
保険種類・保険会社の誤認を招く行為
お客様に対して、保険種類や引受保険会社について誤解を招くおそれのあることを告げるこ等は禁止されています。特に乗合募集代理店では、お客様が保険種類や引受保険会社について誤解しないよう適切な説明が必要です。
保険種類・保険会社の誤認を招く行為となる事例
同じ種類の保険でないものを、あたかも同じ種類の保険のように比較した資料を作成してお客様に説明した。
関係法令等
保険業法300条1項9号
保険業法施行規則234条1項5号
無登録募集
生命保険募集人として登録されていない者が保険募集を行うことはできません。生命保険協会では、登録を受けようとする者に対して、募集人としての必要知識水準を定め、その習得状況と募集人としての資質や能力を確保するために一般課程試験を実施しています。この試験に合格し、募集人登録が完了した者のみが保険募集を行うことができます。
関係法令等
保険業法275条、276条、277条、280条
無断契約・名誉毀損・架空契約
お客様に無断でその名義を使ったり(無断契約)、加入意思のないお客様から名義使用の了解を得たり(名義借契約)、実在しないお客様の名義を利用したり(架空契約)して契約を申込む行為は不適切な行為ですので行ってはいけません。関係法令等
保険業法307条1項3号
刑法159条「私文書偽造罪」、161条「偽造私文書行使-罪」、167条「私印偽造罪」
保険法38条、67条
無面接募集
対面募集においては、募集人は契約者・被保険者と面接した上で、それぞれの本人確認や意思確認を行わなければなりません。面接には募集人による第一次選択という目的も含まれます。
無面接募集となる事例
- 契約者とだけ面接し、被保険者への説明は契約者にお願いして、後日記入済みの申込書類を送っていただいた。
- 被保険者が未成年だったので、親権者とのみ面接し、被保険者とは面接しなかった。
代筆・代印
申込書類は。契約の意思確認として重要な書類ですので、必ず契約者・被保険者ご本人に内容を確認していただいた上で、自署・押印していただきます。代筆や代印は行ってはいけません。
代筆・代印となる事例
- 契約者から頼まれて、募集人が申込書の契約者欄を代筆した。
- 被保険者から受け取った告知書に記入漏れがあったので被保険者に連絡した際、面倒なので書いておいてと頼まれて募集人が代筆した。
保険料等の費消・流用
お客様からお預かりした保険料は、保険会社の公金ですので、どのような理由があっても私的に使用したり、別の目的に流用することはできません。
保険料等の費消・流用となる事例
契約者から預かった保険料を、個人的な買物に使用した。
関係法令等
保険業法307条1項3号
刑法253条「業務上横領罪」
財テク・短期解約前提募集
財テク等を目的とした契約や当初から短期での解約を前提とした契約等、保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動をしていはいけません。
財テク・短期解約前提募集となる事例
キャンペーン入賞まであと少しだったので、友人に「3ヶ月だけ続けてもらえば解約していい」とお願いして、保険に加入してもらった。
関係法令等
保険業法307条1項3号
保全手続不適切取扱
契約者・請求権者等の意向に反した保全手続きを行ったり、解約請求や給付金等の保全手続きを放置するなどの行為を行ってはいけません。
保全手続不適切取扱となる事例
契約者から解約書類を預かったが、営業用カバンに入れたまま、保険会社に提出しなかった。
関係法令等
保険業法307条1項3号
以上、生命保険募集人が行なっていけないことでした。
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