役所によって国民健康保険料と国民健康保険税と称しているところがあるのはご存知でしょうか。これらの名称の違いで何がどう変わってくるのか。その違いについての解説です。

 

2018/08/01 13:09:01

国民健康保険料と税の違い

市町村によって国民健康保険料というところと国民健康保険税というところがあります。
なぜ、市町村によって呼び方が違うのでしょうか?

 

それは、次のような根拠と思惑?で違っています。

 

国民健康保険法第76条

国民健康保険料は、国民健康保険法第76条により制定されています。

 

(保険料)
第七十六条  保険者は、国民健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含み、健康保険法第百七十九条 に規定する組合にあっては、同法 の規定による日雇拠出金の納付に要する費用を含む。)に充てるため、世帯主又は組合員から保険料を徴収しなければならない。

 

ただし、地方税法 の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。

 

このように、国民健康保険の負担については、本来、医療保険の保険料としての性格を持つものですが、市町村の選択により、保険「料」の形式をとる以外に、徴収上の便宜として保険「税」の形式を採ることが認められています。

 

ですから、国民健康保険税という方法を選択をしている市町村では、地方税にあたることになります。

保険料料と保険税では徴収する時効も違ってきます

まずは時効の違いです。

 

時効の違い

国民健康保険料の時効は2年に対し、国民健康保険税では5年になります。

 

国民健康保険税(地方税の消滅時効)

 

第十八条  地方団体の徴収金の徴収を目的とする地方団体の権利(以下この款において「地方税の徴収権」という。)は、法定納期限(次の各号に掲げる地方団体の徴収金については、それぞれ当該各号に定める日)の翌日から起算して五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。

 

この条文のように、国民健康保険料は2年間過ぎてしまうと徴収権は無くなりますが、国民健康保険税のほうは5年あります。

 

差押えの違い

もしも、保険料なり保険税を一定期間滞納。そして財産がある場合には差押えとなり強制徴収されます。このときに国民健康保険税のほうが、他のどの抵当権よりも優先して弁済されることになります。

 

これが、国民健康保険料の場合ですと、弁済の優先順位が抵当権の次になってしまいます。

 

1位:国税や地方税(国民健康保険税)
2位:抵当権
3位:国民健康保険料

 

このような順番になります。

 

遡及期間が違う

遡及とは「過去のある時点までさかのぼること」ですが、国民健康保険税では、遡求期間は3年ありますが、国民健康保険料では2年となっています。

 

ですから、他の健康保険から国民健康保険に加入しなくていけばいのに、保険料がもったいないからといってしばらく間ををあけてから国民健康保険へ加入したときにどうなるのか。

 

この場合、届け出をした日から保険料(税)が発生するのではなく、資格を取得した日にさかのぼって徴収されるということになりますからご注意ください。

 

 

まとめ

国民健康保険の負担は、本来、医療保険の保険料としての性格を持つものですが、市町村の選択により、保険「料」の形式をとる以外に、徴収上の便宜として保険「税」の形式を採ることが認められています。

 

ですから、保険料と保険税では、徴収権の時効も違ってきますし、差押えの時も保険税のほうが、他のどの抵当権よりも優先して弁済されることになります。

 

また、保険税では、遡求期間は3年ありますが、保険料では2年となっています。

 

以上、「国民健康保険料と保険税はどう違うのか調べてみましたよ」についての記事でした。

 

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