こんにちは、ファイナンシャルプランナーのHamaです。今回のお題は健康保険の扶養についてです。
さて健康保険といっても実にたくさんあります。
- 中小企業に勤務する方が加入する協会けんぽ
- 大手企業やそのグループが独自で運営している企業健康保険組合
- 派遣の方の人材派遣健康保険組合
- 同種同業なら加入できる国民健康保険組合
などです。
健康保険の種類については、こちらの健康保険の種類にはどのようなものがあるのかご存知ですか?で確認できます。
これらの中から、「自分はどこそこの健康保険に入りたい!」と願っても、残念ながら入社した会社によって加入できる健康保険は決まってしまいますから勝手には選ぶことはできません。これは当然のことですが・・・。
そして本人のみならず条件があえば、家族も扶養(被扶養者)として同じ健康保険に加入することができます。
それではその条件とは?そして扶養に入れる家族とはどの範囲までをいうのでしょうか?これらついて解説します。
2017/12/13 14:23:13
健康保険の扶養に入る条件は2つ
まずはじめに、健康保険の扶養に入れるといっても75歳以上の方は、後期高齢者医療になるため扶養には入れませんのでご注意ください。
それでは健康保険の扶養に入る場合ですが、健康保険の扶養とは正式には被扶養者(ひふようしゃ)といいまして、主に2つの条件があります。
ひとつは、被保険者の家族の範囲に含まれていること。そしてもうひとつは、決められた収入の範囲内であることです。
関連記事として、「被保険者と被扶養者の違い」についてはこちらの社会人なら知っておきたい被保険者と被扶養者、記名被保険者の違い、失業保険と扶養。税金、健康保険、年金に及ぼす影響があります。
まずは、家族の範囲はどうなっているのかご覧ください。
健康保険の扶養に入るための家族の範囲
健康保険の扶養は被扶養者といいますが、配偶者以外で被扶養者となれる家族の範囲は、三親等内の親族と決められています。そして三親等内であっても同居・別居により違っています。
三親等内でも親や祖父母、子ども、孫、弟妹であれば同居、または別居でも認められますが、その他は三親等内であっても、同居が条件となっています。※平成28年10月1日より、「被保険者本人の兄姉」は同居の条件はなくなります。
三親等内の血族とは?
三親等内の親族には血族と姻族があります。
三親等内の血族
- 本人の親と子供が1親等
- 祖父母と孫、兄弟姉妹は2親等
- ひいじいさんやひいばあさんである曾祖父母(そうそふぼ)と曾孫(ひまご、そうそん)、甥姪(おい、めい)、伯父・伯母、叔父・叔母は3親等
三親等内の姻族
- 配偶者の父母は1親等
- 祖父母と兄弟姉妹は2親等
- 伯父(おじ)伯母(おば)、曾祖父母、甥(おい)・姪(めい)は3親等
他にも姻族はいますが省略しています。詳しくは、こちらの図(PDF)をご覧ください。
健康保険の扶養に入るための収入条件
健康保険の扶養(被扶養者)に入るための家族の範囲をご紹介しましたが、その次に収入の条件があります。
年収が130万円未満であれば扶養に入れますが、年収が130万円以上となると扶養には入れません。ただし60歳以上の方や障害厚生年金受給者等は180万円未満です。
年収130万円とは?
年収130万円というのは、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間見込収入額でみます。また、交通費なども含んだ税金控除前の総収入金額をいいます。
月額では、60歳未満は月額108,333円以下、60歳以上は月額149,999円以下です。
そして失業保険からの手当は収入としてみなして日額で計算します。60歳未満は日額3,611円以下、60歳以上は日額4,999円以下です。
他の条件
さらに上記の収入条件に加えて同居の場合は、被保険者の収入の原則2分の1未満であること。主として被保険者の収入によって生活をしていること。このような条件が加わります。
別居の場合には被保険者本人からの仕送額より少ないこと。主として被保険者の収入(送金)によって生活をしていることなどが条件です。
健康保険制度によって条件は異なりますのでご注意ください。
収入に含まれるもの
以下が収入に含まれます。
- 給与収入(賞与・交通費等を含む総収入)
- 事業所得(必要経費を差し引いた額)
- 投資収入
- 利子収入
- 個人年金公的年金(厚生年金、国民年金、共済年金、船員保険年金、厚生年金基金等課税対象ではない遺族年金、障害年金、恩給等も含まれます)
- 不動産賃貸収入(土地、家屋、車庫等)
- 雇用保険失業給付金
- 傷病手当金、出産手当金
- その他、実質的に収入と認められるもの
尚、一般的には、退職金や不動産売却などの一時的なもの、災害を被ったことにより受けられる補償金、そして見舞金や保険金、死亡保険金などは収入とみなさなれません。
どんなときに扶養の手続きが必要なの?
家族が増えたときは、扶養(被扶養者)の手続をする必要があります。
具体的には、結婚、子供の誕生、被扶養者に子供が生まれた、その他あらたに扶養家族が増えたときです。
扶養に入れるための手続に必要な書類
被扶養者(異動)届の他に添付書類がありますが、ケースバイケースで違ってきます。ここでは代表的なケースでの書類について取り上げています。
配偶者が退職し扶養に入る場合
健康保険資格喪失証明書(勤務していた会社からもらう)は必須書類です。
それ以外は、雇用保険を受給する、しない等で変わってきます。
- 雇用保険未加入の方は、退職証明書
- 雇用保険を受給しない・できない方は、雇用保険被保険者離職票1・2、離職票を発行してもらってない方は雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(写)
- 雇用保険を受給をする人は、雇用保険受給資格者証
- 出産等で退職し雇用保険の受給延長をする人は、雇用保険受給延長通知書 、雇用保険被保険者離職票1・2
雇用保険を受給するしないに関わらず、それ以外に収入があれば、課税(非課税)証明書の添付も必要です。
上記の書類も各健康保険によって違ってきますので、各自でご確認ください。
虚偽の申請による罰則
被扶養として加入できないにも関わらず加入させバレた場合には罰則があります。健康保険法第58条・第59条・第121条。
被保険者が扶養の実態がない家族を虚偽の申請により認定を受けたことが判明した場合は、被扶養者資格を遡って取り消され、当該期間に渡って発生した医療費の全額及びその他の給付を過去に遡って返還しさせられます。
第58条
偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。
第五九条 保険者は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受ける者(当該保険給付が被扶養者に係るものである場合には、当該被扶養者を含む。第百二十一条において同じ。)に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問若しくは診断をさせることができる。
第一二一条 保険者は、保険給付を受ける者が、正当な理由なしに、第五十九条の規定による命令に従わず、又は答弁若しくは受診を拒んだときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
まとめ
健康保険の扶養(被扶養者)として加入するには、主な条件としてふたつあります。
- 家族の範囲に含まれていること
- 決められた収入の範囲内であること
家族の範囲内とは、3親等の親族をいいますが、配偶者の父母や祖父母、兄弟姉妹は同居が条件となっています。被保険者本人の親や祖父母、子供、孫等は別居でも家族の範囲内に入ります。
収入の条件としては、年収が130万円未満であれば扶養(被扶養者)になれますが、年収が130万円以上となると扶養(被扶養者)になれません。ただし60歳以上の方や障害厚生年金受給者等は180万円未満になっています。
以上、健康保険の扶養とは?どういう仕組みになっているの?でした。それではまたお会いしましょう。
関連記事:失業保険と扶養の関係。税金、健康保険、年金はどうなるの?
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