高額な医療費を支払ったときには、「高額療養費」の請求により還付を受けることができます。その申請手続きですが、国民健康保険や健康保険などの医療保険、共済組合などにより手続きが異なっています。その申請方法について解説します。

 

2016/03/08 09:43:08

高額療養費の申請手続

70歳未満の方が高額な医療費を支払った場合は、一定額以上の金額については還付を受けることができます。しかしながら、手続きをしないと還付はされません。この手続きを「高額療養費の申請」といいます。

 

では、高額な医療費とはいくら以上の金額をいうのでしょうか?
以下のように区分され所得によって限度額が決まっていますので、それ以上に支払った医療費を高額な医療費といいます。

 

国民健康保険の高額療養費の自己負担限度額

高額療養費の区分表

 

健康保険・共済組合の高額療養費の自己負担限度額表
共済組合の高額療養費の限度額表

 

上記表の見方は、こちらの高額療養費とはどういう制度なのですか?をご覧ください。

 

高額療養費の申請は医療保険によって異なっています

高額療養費の申請は、国民健康保険や健康保険、共済組合などの医療保険によって異なっています。詳細は以下をご覧ください。

 

国民健康保険の高額療養費申請について

国民健康保険の高額療養費の申請は、国民健康保険証を発行している各市区町村の窓口が申請先になります。下記事例のように市区町村によって申請に必要な書類は少々異なっています。

 

神奈川県横浜市の高額療養費の申請について

たとえば、あなたが、神奈川県横浜市の国民健康保険証を持っているのなら、横浜市役所に高額療養費の申請を行います。

 

必要書類については、横浜市のホームページには以下のように掲載されています。

 

通常の場合、高額療養費支給の対象となった月の翌々月(例えば対象月が4月なら6月)の下旬に、支給申請書兼申立書をお送りします。以下のものをお持ちになって、申請してください。
●お送りした支給申請書兼申立書
●来庁する方の本人確認書類 (免許証、パスポート、その他顔写真付の証明書等)
●保険証と印鑑(朱肉を使用するもの)
●銀行の預金通帳又は口座番号などの控え

 

 

東京都江東区の高額療養費の申請に必要な書類

江東区では、下記のようになっています。

 

該当する世帯には、診療を受けた月から概ね3ヶ月後に、区役所から「高額療養費支給該当のお知らせ兼申請書」をお送りしますので、受け取った後に申請手続きしてください。(郵送による申請が可能です)申請日から約1ヶ月~1ヶ月半後に口座に振り込まれます。

 

なお、診療を受けられた月の翌月の1日から2年を経過すると時効となり、支給されませんのでご注意願います。

 

<申請に必要なもの>
(1)世帯主のマイナンバーカード(個人番号カード)
※マイナンバー(個人番号)と本人確認書類の詳細は、「【国民健康保険】届出・申請時に必要な書類」を参照ください。
(2)世帯主の保険証
(3)世帯主の印鑑(朱肉を使用するもの)
(4)高額療養費支給該当のお知らせ兼申請書
(5)振込口座登録・変更依頼書
(6)世帯主の振込口座の確認できるもの(ただし、インターネット銀行(楽天銀行は可)・一部の地方銀行等は除く)

 

※以前に高額療養費の申請をしていて、振込口座を変更しない世帯は、上記(4)(5)については必要ありません。また、郵送による場合は、ご署名・ご捺印のある申請書の送付のみで申請が可能です。

 

大阪市の高額療養費の申請に必要な書類

 

保険証
印かん
領収書
高齢受給者証(お持ちの方)
世帯主名義の金融機関口座通帳(または振込先口座のわかる書類)
特定疾病療養受療証(お持ちの方)

 

健康保険加入者の高額療養費の申請について

会社にお勤めの方のほとんどが健康保険に加入しています。健康保険には、中小企業の方が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)と大手企業やグループ企業などで構成されている健康保険組合の2つがありますので、それぞれの担当窓口に申請します。

 

全国健康保険協会(協会けんぽ)

全国健康保険協会(協会けんぽ)は各都道府県支部が申請先になります。船員保険も同様です。
各支部の詳細はこちら

 

健康保険組合

健康保険組合は、各健保組合担当窓口になります。

 

後期高齢者医療制度の高額療養費の申請について

後期高齢者医療制度は、75歳上の方が加入する医療保険です。北海道から沖縄まで全国の都道府県ごとに後期高齢者医療連合という形式で窓口が設置されていますので、お住いの担当の後期高齢者医療連合に申請を行います。

 

※ 後期高齢者医療の平成29年7月診療分までの限度額です。平成29年8月からは改正により下記表の赤字部分の限度額に変更されました。

 

区分

1ヵ月の自己負担限度額

個人ごと(外来) 世帯ごと(外来+入院)
現役並み所得者

44,400円
平成29年8月診療分から57,600円

80,100円+(医療費-267,000円)×1%、多数回該当は、下記の記載事項もご確認ください。
一般

12,000円、
平成29年8月診療分から14,400円(年間144,000円)
 

44,400円、
平成29年8月診療分から57,600円。多数回該当は、下記の記載事項もご確認ください。

低所得Ⅱ(※1) 8,000円 24,600円
低所得Ⅰ(※2) 8,000円 15,000円

 

※1 低所得者Ⅱ
世帯の全員が市町村民税非課税の被保険者(低所得者Ⅰ以外の被保険者)

 

※2 低所得者Ⅰ
世帯の全員が市町村民税非課税で、その世帯の各所得が必要経費を差し引いたとき0円となる被保険者(年金の場合は年金収入80万円以下)

 

※ 多数回に該当する方は、過去12か月間に4回以上高額療養費の支給があった場合、4回目以降の限度額は44,400円となります(多数回該当)。ただし、「外来(個人ごと)の限度額」による支給は、多数回該当の回数に含みません。

 

高額長期疾病(特定疾病:慢性腎不全・血友病・後天性免疫不全症候群)については、現役並み所得者と一般との区分に関係なく、外来・入院ごとに自己負担限度額が10,000円となります。

 

共済組合の高額療養費の申請

共済組合には、国家公務員共済組合(文部科学省共済組合、国土交通省共済組合など)や地方職員共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合などがあります。

 

高額療養費の申請は、それぞれの共済組合担当になります。

 

詳しくは、ご自身が加入している保険者の担当窓口にお問い合わせください。

 

 

まとめ

高額な医療費を支払った場合には、高額療養費制度により、後から限度額以上の分については、還付されてきます。

 

しかしながら申請の手続きを行う必要があります。申請先については、加入している医療保険によって異なります。以上、「高額な医療費を支払ったときの高額療養費の申請について」の記事でした。

 

関連記事:高額療養費とはどういう制度なのですか?高額医療費には貸付制度があります

 

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