在宅医療の自己負担に関係してくるのが、健康保険から給付される訪問看護療養費です。一般的には、介護保険で使うものと思われていますが、条件にあえば健康保険でも使うことができます。その内容と主だった疑問をQ&A形式で解説します。
2017/09/21 13:52:21
訪問看護療養費とは?
介護保険だけでなく、健康保険を利用しても在宅医療を利用することができます。
ただし健康保険で訪問看護を利用する場合には自ら看護師を呼んで利用することなどはできません。かかりつけの医師の指示に基づいて、継続して在宅にて療養を受ける状態にあることや療養を必要とする人に限られています。
また利用できる疾患は、難病患者や脳卒中などの方などで寝たきりの状態にある方となります。
これらに該当する方が、かかりつけの医師を通じて訪問看護を申込みし、訪問看護ステーションから療養上の世話や必要な補助を受けた場合に健康保険が利用できるようになっています。
これを健康保険から現物給付される「訪問看護療養費」といいます。
健康保険が利用できれば当然自己負担が減りますのでとてもありがたい制度です。
現物給付って何ですか?
現物給付とは?
健康保険の給付には現金給付と現物給付があります。
現金給付は出産育児一時金や傷病手当金など現金で給付されるものをいいます。現物給付とは、実際にモノを差し上げることではありませんが、医師の診察や看護などの医療給付サービスのことをいいます。
訪問看護療養費の詳細
自己負担については、在宅において継続して療養を受ける状態にある人(難病患者等で医師が厚生労働省の基準により認めた人)が、安心して家庭で療養できるように、指定訪問看護事業者の訪問看護・介護サービスを受けたときにかかった費用の3割(70~74歳は2割または3割)を負担すればよいことになっています。
残りの7割(70~74歳は8割または7割)は、健康保険や国民健康保険等の保険者が負担をします。この給付のことを訪問看護療養費といいます。
ところで、訪問看護というと「介護保険」のことを思い浮かべると思います。
介護保険においても「訪問看護」を受けることはできますが、介護保険においては年齢が40歳以上でないと要介護認定を受けることができません。
そのため、その年齢以下の働き盛りの方が、難病や末期がん、あるいは重度障害などになってしまい在宅医療を受ける場合には、健康保険を利用することになります。
※健康保険を利用しなくても在宅医療を受けることができますが、費用は全額自己負担になります。
訪問看護についてのQ&A
かかりつけの医師(主治医)が認めた難病患者の方や重度障害者の方、あるいは働きざかりで脳卒中などに倒れ、寝たきりの状態にある方、がんにかかった方で自宅で最期を迎えたいと希望する方などが対象となります。
具体例: 在宅の末期がん患者、難病患者、重度障害者(筋ジストロフィー、脳性麻痺等)、初老期の脳卒中患者などになります。
訪問看護ステーションから保健師、看護師、理学療法士、作業療法士等が医師の指示のもとに訪問し、療養上の世話や必要な診療の補助を行います。
具体例: 病状の観察、清拭、洗髪、入浴の介助及び指導、床ずれの処置及び指導、医療器具類の管理、リハビリテーション、食事介助、排泄介助、家族への介護指導・相談、医師の指示による医療処置など
要介護状態にあり、要介護認定を受けている場合は、原則として介護保険が優先されます。
家族(被扶養者)が訪問看護を受ける場合にも3割負担(70~74歳は2割または3割)となっています。
高額療養費の対象になります。
患者は、直接、指定訪問看護事業者に支払います。
領収書は、基本使用料とその他の料金について区別して記載した領収書を発行することになっています。
まとめ
訪問看護療養費とは、健康保険や国民健康保険などの医療保険から現物給付されるサービスをいいます。
利用できる方は、医師の指示が必要で、末期がんや難病、あるいは重度障害者の方等に限られています。
訪問看護の費用負担については、利用したサービスの3割(年齢によって異なる)を自己負担し、残りの7割が訪問看護療養費として医療保険者から訪問看護ステーションの事業所に支払われることになります。
以上、「訪問看護で給付される訪問看護療養費とは?」についての記事でした。
該当カテゴリー:健康保険
関連カテゴリー:雇用保険(失業保険)、労災保険、生命保険