退職理由が会社都合なのか自己都合なのかによって「失業手当」は給付制限期間が「ある」「なし」に分かれるのはご存知でしょうか?

 

会社都合(倒産や解雇)で離職された方は、「特定受給資格者」といいますが、失業手当を受取るまでの制限期間はありません。

 

しかし、自己都合での離職となれば、3ヶ月間もの制限期間があります。そのためにだいたい4ヶ月間も無収入になります。このように離職理由によって制限期間の有無が決まっています。

 

そして、もうひとつ、「特定理由離職者」があります。
本人は自己都合による離職かと思っていても、「特定理由離職者」に該当して、給付制限期間がなかったケースもあります。

 

それでは、どういった離職理由が「特定理由離職者」に該当するのか、そして、会社都合の場合は、いつ失業手当を受取れることができるのかなどについて解説します。

 

2017/10/02 10:34:02

失業保険は離職理由によってもらえる日数は違う

会社が倒産などにより、会社都合でやめた場合と自己都合では失業保険から受取れる日数が違ってきます。

 

会社都合での離職とは、倒産や解雇などの人が該当しますが、このような方を「特定受給資格者」といいます。

 

また、自己都合の退職であっても、正当な理由がある場合の離職については「特定理由離職者」といいます。特定受給資格者と同様に失業保険の給付期間が自己都合の離職に比べて長くなる場合があります。また、自己都合では3ヶ月の給付制限期間がありますが、これがなくなります。

 

会社都合で離職した場合にはいつから受取れるのか

会社都合の離職は、給付制限期間はありません。だからといって、ハローワークで求職手続きをすれば翌日にでも失業手当を受取れるわけでもありません。

 

やはり、7日間の待期期間があります。
また、その後に行われる受給説明会への必須参加、そしてその後1~3週間後に指定されている第1回失業認定日にハローワークへ行き、失業状態にあるとの申告を行う必要があります。そうしてだいたい7日間後に初めての失業手当が振込まれます。

 

結局のところ、会社都合での離職した人は、初めてハローワークに行って求職手続きを行ってから1ヶ月後くらいに失業手当(基本給付)は振込まれると思ったほうがよいです。2回目からは、求職活動を2回以上行い、それがハローワークに認定されれば、おおよそ1ヵ月ごとに振込まれます。

 

自己都合での退職は、雇用保険の被保険者として1年以上加入していないと受給資格がありません。また、失業手当を受給するまでには給付制限期間が3ヶ月があります。

 

自己都合では、年齢と被保険者期間によって所定給付日数が違います。給付日数については、こちらのページで確認できます。

 

特定受給資格者の判断基準

特定受給資格者は以下の理由が該当します。

 

倒産等が理由
  • 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
  • 事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出が されたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
  • 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
  • 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

 

以下は、平成27年4月に大型倒産した会社です。

 

2015.4.1(株)アウトバーン 従業員93名
2015.4.1(株)朝日ダイヤゴルフ 従業員78名
2015.4.3(株)エルム・インターナショナル 従業員55名
2015.4.3(株)エアークリスタル 従業員7名
2015.4.3(株)トライデント 従業員32名
2015.4.14(株)トライデント 従業員32名
2015.4.14 奥村遊機(株)従業員217名
2015.4.30 江守グループホールディングス 従業員823名

 

他にも倒産した企業はたくさんありますが、従業員数が不明なので記載していません。
上記の企業の従業員だけでも1,337名にもなります。たいへん気の毒です。

 

要するにこういった倒産企業の従業員達は雇用保険の被保険者であれば特定受給資格者に該当します。失業手当を受給するにはお住まいの住所地を管轄しているハローワークに行って、求職活動の手続きをして条件に合致すれば失業手当を受取ることができます。

 

特定受給資格者は解雇により離職した者も含みます

解雇により離職した者は、特定受給資格者に該当しますが、自己のミスによる重大な理由による解雇を除くとなっています。

 

労働条件の相違による離職

労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者

  • 賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと、又は離職の直前6か月の間のいずれかに3か月あったこと等により離職した者
  • 支払われていた賃金が85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者 (労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)

 

離職の直前6か月間のうちに以下に該当する方
  • 連続する3か月で45時間の時間外労働
  • 1か月で100時間の時間外労働
  • 連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者

 

事業主側の原因やセクハラに関連するもの
  • 事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
  • 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
  • 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
  • 期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働契約が更新されることが明示された場合において労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(7)に該当する場合を除く。)
  • 上司、 同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかったことにより離職した者。
  • 公的機関に相談したにもかかわらず、1ヶ月を過ぎても改善措置がとられず離職した場合など
  • 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者 (従来から恒常的に設けられている 「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
  • 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者
  • 事業所の業務が法令に違反したため離職した者

特定理由離職者の判断基準

特定理由離職者は以下の理由に該当する方々です。

 

労働契約によるもの

期間の定めのある労働契約期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(上記「特定受給資格者の範囲」に該当する場合を除く。)

 

※労働契約において、契約更新条項が「契約の更新をする場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確認まではない場合がこの基準に該当します。
ただし、当初から更新契約はないと明記されている場合には該当しません。

 

正当な理由による自己都合
  • 体力の不足・心身の障害・疾病・負傷・視力の減退・聴力の減退・触覚の減退により離職した者
  • 現在就いている業務または、配置換えによる新たに就く業務が上記の身体的条件により困難、または不可能な場合に該当します。提出資料として医師の診断書が必要です。
  • 妊娠・出産・育児等により離職し受給期間延長を受けた者
  • 結婚に伴う住所の変更
  • 結婚に伴う住所の移転により、事業所への通勤が客観的にみて不可能、または困難になった場合で離職した場合が該当します。提出資料として住民票が必要です。
  • 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
  • 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
  • 配偶者や親族と別居を続けることが、家庭的事情や経済的事情で困難となり、それらの者と同居のため離職した場合が該当します。
  • 事業所の通勤困難な地への移転
  • 通勤するのに往復4時間以上であるため離職した場合
  • 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
  • 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
  • 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
  • 転勤または出向の命令により、配偶者または親族と別居を余儀なくされたために離職した場合に該当します。
  • 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
  • 配偶者が転勤または出向を命ぜられ、それに伴い同居を続けるため被保険者も移転した場合に、事業所への通勤が不可能または困難となり離職した場合が該当します。
  • その他、上記「特定受給資格者の範囲」に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

 

 

会社都合・倒産でやめた場合の失業保険のまとめ

倒産や解雇など会社都合やでやめた方を特定受給資格者といいます。この場合の失業保険は、自己都合でやめた方に比べて所定給付日数が長くなったり、3ヶ月の給付制限がないなどがあります。

 

しかしながら、会社都合であっても、初回の失業手当が振込まれるには、初めてハローワークに行って求職手続きを行ってからおおよそ1ヵ月後になります。

 

特定受給資格者に該当するものは、倒産や解雇のみならず、連続する3か月で45時間の時間外労働、支払われていた賃金が85%未満に低下した、上司、 同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けた等も該当します。

 

また、体力の不足・心身の障害・疾病・負傷・視力の減退・聴力の減退・触覚の減退により離職した者は特定理由離職者といい、特定受給資格者同様に扱われます。

 

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