失業保険を受取るためには、求職活動の実績が必要です。原則は4週間に2回以上になります。そして、その後も4週間ごとにと続きます。
そこで、求職活動の回数とはどのような活動をいうのか、また詳細なスケジュールはどうなっているのか、民間職業紹介機関が行うセミナーや公的機関が行う職業相談、転職エージェントに相談などは求職活動実績として認められるのかなど疑問点について解説します。
2015/05/28 19:10:28
求職活動実績とスケジュールはどうなっている?
失業保険をもらうための条件として「規定回数以上の求職活動実績」が必要になります。求職活動実績として認められる活動については、このページの下部に掲載しています。
求職活動の目的は、再就職をはたすために行うのですが、失業手当の支給を受ける条件からも決められた回数以上の求職活動をしないと失業手当は支給されませんから求職活動実績は必須の活動になります。
一般的に仕事を探す場合、新聞の折込チラシやインターネットでの求人情報の検索、ハローワークに行って探す等がありますが、失業手当を受給するには、就職(求職)活動実績として認められる活動を、原則として失業認定日から次の失業認定日の前日までの期間中に、最低2回以上行うことが必要となります。
ただし、自己の都合等で退職した給付制限がある場合には、3ヶ月の給付制限期間とその直後の認定対象期間を合わせた期間中に原則として求職活動実績として認められる活動を最低3回以上行うことが必要となります。
ちょっと複雑でわかりずらいと思いますが、会社都合で辞めた方は、初回講習会に参加(求職活動1回とみなされる)すればその後に指定されている日の失業認定日にハローワークに行けば失業手当(基本手当)を受取ることができます。
一方、自己都合で会社を辞めた方は、初回講習会に参加(求職活動1回とみなされる)しても3ヵ月の給付制限期間がありますから、すぐに失業手当(基本手当)を受取ることはできません。また、その後に指定されている失業認定日の前日までに2回以上の求職活動を行う必要があります。
このようにちょっとした違いがあります。詳しくは、下記のスケジュール事例でご確認ください。
3ヵ月の給付制限期間中であっても早くに再就職先を見つけて就職してしまったほうが、いくつか条件はありますが再就職手当が受取れることは知っておいたほうがよいです。再就職手当の詳細についてはこちらのページをご覧ください。
解雇・会社都合の場合の求職活動実績の例
スマホでご覧になっている方はクリックすると画像は大きくなります。内容は、以下に説明しています。
解雇・会社都合で離職されたAさんが、失業手当を受給するためにハローワークに行ったのが、2月3日です。
その日から7日間が待機期間になりますから、2月9日まで待機期間となります。
その後に雇用保険受給のための初回説明会が、2月10日に指定されていますので、それに参加します。
次にはじめての失業認定日が3月3日に指定されていますのでこの日にもハローワークにいきます。
この日までに求職活動が1回必要ですが、初回説明会(講習会)に参加することで求職活動1回の実績にカウントされますのでこれでOKです。
2回目の失業認定日は3月31日です。今度は、その前日までに2回以上の求職活動(ハローワークに行っての職業相談や講習会・セミナーに参加など)が必要になります。
3回目は4月28日が失業認定日になりますが、前回同様に2回以上の求職活動が求められます。
その後もこのように繰り返していきます。つまりは、所定給付日数が90日ある方が満額をもらうためには、全部で9回の求職活動実績が必要になります。
自己都合の離職と会社都合では求職活動実績回数は違います
上記の会社都合の離職と自己都合の違いは、給付制限期間が3ヶ月間ある点です。そのため、次の失業認定日まで期間があきます。
自己都合の離職の方は、待機期間満了の翌日から第2回目の認定日5月26日の前日までに3回の求職活動実績が必要になります。
※ 雇用保険受給者初回説明会(講習会)に参加することで求職活動実績1回とみなされますからあと2回は求職活動が必要になります。
求職活動といっても、企業訪問などをしなくてはいけないというものではなく、以下に説明の活動で認められますから、ものすごくたいへんというものでもありません。
求職活動実績として認められるものには何があるの?
主に以下の項目のものが求職活動の実績として認められるものになります。
求人への応募
WEBサイトや求人広告誌、新聞、無料求人誌などから応募が該当します。
以下のようなWEBサイトから申し込むのが手っ取り早いですが、会員登録だけでは求職活動実績にはなりません。転職サイトや転職エージェント等を通じての応募や面談は実績にカウントされます。またこういったところでは、合同説明会やセミナー、個別相談会を開催していますので参加をすることで参加証明書がもらえますので求職活動実績としての証拠になります。
〈転職サイト・転職エージェントの例〉
⇒アイデム・あなたにあった転職エージェントとは
⇒首都圏の正社員転職にtypeの人材紹介
⇒介護福祉の転職ならカイゴジョブ
⇒29歳以下の若手向け転職エージェント・第二新卒エージェントneo
ハローワークでの職業相談等
ハローワークや船員雇用促進センターが行う職業相談、職業紹介等で仕事の探し方が分からない。どんな仕事が向いているのか分からない。求人票の見方や求人情報提供パソコンの使い方が分からない。他府県の求人情報を知りたいなど、職業訓練の相談等をハローワークで相談ができます。
セミナー受講
ハローワーク等、船員雇用促進センターが行う各種講習、セミナーの受講も該当します。ハローワークで講習会やセミナーが行われていて、無料で参加できます。ただし予約制で定員になり次第締め切りがありますのでご注意ください。例として、中高年者向け求職活動支援セミナー、建設業界セミナー・事業所説明会、女性の再就職セミナーや中年セミナー、面接対応セミナーなどがあります。
民間職業紹介所が行なう職業相談や紹介等
上記でも紹介しましたが、許可や届け出のある民間機関(民間職業紹介事業所、労働者派遣事業所)が行う職業相談、職業紹介等も就職活動実績として認められます。
民間の会社等が職業紹介事業を行う場合には、有料・無料問わず、厚生労働大臣の許可が必要となっています。労働者派遣事業とは異なります。
許可を受けた民間職業紹介事業所には、必ず以下のように許可番号が付与されています。
〇株式会社 マイナビ(厚生労働大臣許可 13-ユ-080554)
〇株式会社キャリアデザインセンター(厚生労働大臣許可 13-ユ-040429)
民間機関が行うセミナー等
許可・届け出のある民間職業紹介事業所や労働者派遣事業所が行う求職活動方法等を指導するセミナー等の受講も就職活動実績に該当します。
公的機関が行う職業相談
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
- 地方自治体
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)とは?
平成23年10月1日に「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構」から名称変更した独立行政法人です。機構の目的は、高齢者の雇用の確保、障害者の職業的自立の推進、求職者その他労働者の職業能力の開発及び向上のために、高齢者、障害者、求職者、事業主等の方々に対して総合的な支援を行うこととなっています。
公的機関が行なう各種講習やセミナー
「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」や地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等が行う各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会等の受講および参加等も就職活動実績に該当します。
国家試験や資格試験の受験
国家試験や検定試験を受けることも求職活動としてカウントされます。合否は関係ありませんが、全く希望職種と関係のない試験は求職活動実績として認定されません。
公共職業訓練(離職者訓練)を受講する
ハローワークでの訓練相談や公共職業訓練申し込みも、それぞれが求職活動実績になります。希望の訓練が見つかったらハローワークにて応募します。
しかしながら応募者全員が訓練受講をできるわけではありません。
「適職に就くために必要であると認められ、尚且つ、職業訓練を受けるために必要な能力を有していることが必要」と認められれば、公共職業安定所長に受講指示、受講推薦又は支援指示を受けられます。
ただし、受講開始日から遡って1年以内に公共職業訓練又は求職者支援訓練の実践コースを受講していない方になります。受講期間は、訓練内容により3月~1年です。
「受講指示」の方は、公共職業訓練の期間中は、雇用保険の基本手当等を受けることができ、訓練期間が所定給付日数を超える場合は給付期間が延長されることになります。また訓練期間中は、認定日にハローワークに出向く必要はありません。
以上が、求職活動実績として認められているものです。
目的は、失業手当をもらうためではなく、就職につながるようにするためですから、自分にあった求職活動をすることが大切です。
失業保険の受給と求職活動の体験
数年前、初めて正規職員として勤務していた会社を辞めて、再就職先を探していた時期がありました。
勤めていた会社は家族で経営を行っていた歯科院でしたが、歯科院の先生が病気を患ったことで、高齢と言うこともあり、突然治療時間を短縮されることになりました。
そのことがきっかけで勤務していた私は一日三時間勤務のパートとして在籍をするのか、辞めるのかといった選択に迫られました。
ひとり暮しをしていて生活がかかっていたため、残念ですが退職することとなりました。
突然退職ということもあり、再就職先を探すのに奮闘していましたが、そのとき役立ったのが失業保険の受給を受けることが出来たことです。
わたしは会社側の都合による失業ということもあり、通常は退職から三ヶ月経過しなければ受給資格はありませんが、離職後すぐに受給資格が得られました。
在職年数が長く、会社都合で解雇され、再就職準備ができないまま離職をしてしまった方、また再就職が困難になってくる40歳代位から受給対期間が長くなるとのことでしたが、私は会社側からの都合解雇ということ以外は二十歳から二十七歳までの七年間働いていただけなので、4ヶ月間の保険金受給の対象でした。
話は前後しますが、失業保険にはハローワークでの手続きが必要でした。
離職票を退職した会社から記入してもらい、失業した経路についてや勤務していた期間についても記入する必要があります。
ハローワークで受理されると、一ヶ月以内に説明会がありました。
内容としては、失業手当受給についての説明や仕組みについて一時間ほどの話です。
仕事を辞めて家事に専念したい方や、自営業を行う準備をしているが収入がないといった方も対象外。それと、就職先を探す意欲がないと失業保険の受給資格が取り消されることもあると知りました。
中でも、受給対象者は「仕事に就く意欲がある方に限ります」と、何度も話されていました。
失業手当は一括で支払われるわけではなく、月に一度ペースの面談にて就職活動を行っているといった証明を行う必要性があります。それで、わたしはハローワークで仕事を紹介してもらうことを優先していました。
また、ハローワークでの手続きですが、仕事の相談や紹介をしてもらうために、希望する仕事や労働条件などを記載して提出します。それが、求職申込書になります。これが受付けされると「ハローワークカード」がもらえます。
このカードは、相談や希望求人の紹介時に必要となるものですからハローワークに行くときに持っていきます。
求職活動として、わたしも他の方もそうですが、ハローワークに設置されているパソコンで求人情報の観覧します。ただ求人情報の観覧だけでは証拠がないので求職活動アンケートをもらって帰りました。これを面談時に提出することで求職活動を行っている証明となりました。
ようやく仕事をみつかった
私は次の仕事も病院関係に就きたいと思っていたので、時間があるとハローワークへ足を運んでいましたが、中々条件に見合った求人に出会うことが出来ませんでした。
はじめは4ヶ月の間でいくらでも仕事を探せるだろうと思っていたのですが、田舎に住んでいるためか中々希望内容の求人はなく、何度も妥協して違う職種を検討するべきか、希望とはかけ離れてはいるけれど病院関係の仕事を受けるべきか等、自身のなかで葛藤がありました。
しかし、受給の最終月に勤務地、給与、時間などが希望通りの求人が出てきたのです。
すぐに問合せを行ってもらい、面接まで取り付けて頂き、これで受からなくては他がないといった熱意にて挑み、見事採用されたのです。
再就職先に勤務をして、もうすぐで三年になりますが今でも失業保険を頂いていたことで、妥協することなく理想の仕事探しができたことに日々感謝をしています。
再就職に妥協はしたくありません。しかし、生活していくためには必ずお金が必要となってしまいます。
そんなとき、安心して仕事探しが出来るお金があるということは大変助かりました。私の体験談から言わせて頂くと、慌てて仕事探しを行っても、意味がありません。
受給額は勤務をしてお給料には及びませんでしたが、生活は出来る金額が振り込まれていましたので、就活中なら充分生活は可能です。
無理をしないで就活が出来るというのは本当にありがたかったです。
求職活動のまとめ
求職活動をしないと失業手当は受給できません。
原則、失業手当を受給するには、求職活動実績として認められる活動を、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間中に、最低2回以上行うことが必要となります。
ただし、初回認定においては、解雇・会社都合で場合の方は1回の求職活動。自己都合での離職の方は、3回必要になります。
といっても、初回説明会に参加することで1回の求職活動とみなされるので、会社都合の方は達成です。
自己都合の方は、ハローワークで職業相談やセミナーに参加すれば、それぞれが1回の求職活動になりますので、これで達成です。
その後は、4週間に2回以上の求職活動をおこなっていくことで失業手当は受給できます。
最後に・・・
失業手当の所定給付日数3分の1以上を残し、1年以上の雇用が見込める企業に就職したならば、再就職手当が一括で受け取れますよ。
受取れる金額は以下の計算式になります。
基本手当日額 × 所定給付日数の支給残日数×60%または50%
それでもって、なお就職先の給料が前職よりも安ければ「就業促進定着手当」も受取れるので、失業手当を残しても早めの就職がよいと思います。
求職活動実績についての記事は以上ですが、失業保険とアルバイトについての記事はいかがですか。
該当カテゴリー:雇用保険(失業保険)
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