雇用(失業)保険の加入条件を満たしていれば、被保険者になります。ではその条件とは何か。また、失業(雇用)保険にはどのような給付があるのかについて解説します。

なお、当記事は、厚生労働省のサイトにあるQ&Aページ、各種資料、ハローワークインターネットサービスのページを参考にまとめています。

雇用保険の被保険者の形態についてはこちらの記事をご覧ください。

 

2015/06/08 14:53:08

失業(雇用)保険の加入条件

失業(雇用)保険の加入条件としては、失業(雇用)保険の適用事業所に雇用されている方で、以下の加入条件に該当する方なら名称や雇用形態にかかわらず、原則として被保険者になります。

ですから常用雇用でなはい、パート、アルバイト、派遣等であっても加入条件に該当するならば原則、被保険者となります。

加入条件は働く時間や雇用期間が関係します

加入条件には、以下のように労働時間と労働日数が関係します。
下の2つを満たしている方は被保険者になります。ただし、該当しない方もいますので、その方については次の項目をご覧ください。

①1週間の所定労働時間が20時間以上ある
②31日以上引き続き雇用されることが見込まれる場合

つまり、週20時間未満や30日の雇用契約では、被保険者に該当しません。

こちらの根拠は、「厚生労働省のQ&A~事業主の皆様へ~」のページに示されています。以下引用部分です。
Q1 雇用保険の加入の要件を教えてください。 雇用保険の適用事業所に雇用される次の労働条件のいずれにも該当する労働者の方は、原則として全て被保険者となります。
1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
2. 31日以上の雇用見込みがあること

また、パートやアルバイトなど雇用形態や、事業主や労働者からの加入希望の有無にかかわらず、要件に該当すれば加入する必要があります。(季節的に一定期間のみ雇用される方など、一部被保険者とならない場合があります)


ただし、上記のように雇用(失業)保険の加入条件である所定労働時間が週20時間以上で31日以上の雇用が見込まれる条件を満たしていても、そこから外れてしまう立場の人もいます。

以下に「被保険者になれる人」と「被保険者になれない人」を以下に例示してみました。

雇用保険の被保険者になれる人

被保険者になれるのは以下の方々です。

パート・アルバイト

次の2つの要件を満たしている人。
  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 31日以上の雇用見込みがあること

法人の役員

原則、法人の役員は被保険者にはなれませんが、代表者以外の役員であって同時に会社の部長、支店長、工場長等従業員としての身分を有する者(雇用関係ありと認められるものに限り被保険者になれます)

各種団体の役員

同上

同居の親族

同居の親族であっても、他の労働者と同様に雇用関係が認められる者に限り被保険者となります。

季節的労働者

季節労働者であっても当初から4ヶ月以上の雇用契約をする場合被保険者となります。

昼間学生

休学中、卒業見込証明書を有する者は被保険者となります(定時制課程に在学する者も被保険者となります)

外務員(外交員)等

事業主の支配拘束を受けているもの、職務の内容、服務の態様、賃金の算出方法から判断します。

家事使用人

事業主に雇用され、主として家事以外の労働をする者が、例外的に家事に使用されても被保険者となります。

国外事業所に雇用されるもの

出張・派遣・出向で国外に就労する場合であっても雇用関係が継続している間は被保険者となります。

複数の事業主に雇用されるもの

複数の事業主に雇用されているときは、主たる賃金を受けている事業主のもとで被保険者となります。

65歳以上の高年齢者

65歳以前から引き続き雇用されている者。65歳以降に雇用される者。

日雇労働者

すべてが被保険者となります

在日外国人

原則、国籍を問わず被保険者となります。ただし外国公務員や外国の失業保険制度加入者は除きます。

在宅勤務者

次の5つの要件をすべて満たせば被保険者となります。
  1. 指揮監督系統が明確
  2. 拘束時間等が明確
  3. 各日の始業・終業時刻等の勤務時間管理が可能
  4. 報酬が、勤務した時間または時間を基礎としている
  5. 請負・委任的でない(この場合、就業規則、賃金規定などの関係書類等の提出が必要となります。)

雇用保険の被保険者になれない人

雇用保険の被保険者になれない人は以下の方々です。

パート・アルバイト

次のいずれかの要件を満たしていない人。
  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 31日以上の雇用見込みがあること

法人の代表者・役員

株式会社、有限会社の代表取締役。会社の取締役、監査役などの役員、外国会社の日本における代表者、合名会社の社員、合資会社の無限責任社員、合同会社の代表社員は、被保険者にはなれません。

各種団体の役員

協同組合、農業協同組合などの役員、社団・財団法人の役員その他各種団体の役員

同居の親族

個人事業の事業主及び法人であっても、実質的には代表者の個人事業と認められる事業の代表者と同居している親族は原則被保険者となりません

季節的労働者

4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者、1週間の所定労働時間が30時間未満である者

昼間学生

学校の生徒で昼間学生

外務員(外交員)等

雇用関係が明確に存在していない場合は、被保険者となりません。

公務員

公務員は原則被保険者にはなれません。

以上の雇用保険の被保険者となれる人となれない人についての根拠は、厚生労働省の【被保険者の詳細、被保険者となる具体例について】に示されています。

 

 

失業(雇用)保険から受取可能な手当を紹介

雇用保険について考える

失業保険から受取ることが可能な手当の種類。下記に列記したようにたくさんありますが、大枠としては、以下の4つになります。

下記の各種手当は、ハローワークインターネットサービスのページに掲載されてはいますが、わかりやすく説明されていませんので解説を交えて取りあげています。

  1. 求職者給付
  2. 就職促進給付
  3. 教育訓練給付
  4. 雇用継続給付

難しい用語が並びましたがその中にいろいろな手当があります。
まずは、求職者給付からの説明です。

求職者給付とは?

求職者給付には、被保険者の種類ごとに対する給付があります。みなさんがよくご存知の「失業手当」は正式には基本手当といいますが、一般被保険者に対する求職者給付の中のひとつです。

雇用保険の被保険者の種類についてはこちらのページをご覧ください。

一般被保険者に対する求職者給付

高年齢被保険者に対する求職者給付

短期雇用特例被保険者に対する求職者給付

日雇労働被保険者に対する求職者給付

就職促進給付

就職促進給付には以下の種類の給付があります。


訓練教育費

教育訓練給付金は2つです。

雇用継続給付

雇用継続給付は3つの給付があります。

最後に

雇用保険の被保険者が会社を退職して失業状態になったならば、被保険者期間1年以上などの条件はありますが、失業手当以外にも各種手当を受取れる権利は出てまいります。

ここでもっとも大切なのは、「雇用保険の被保険者」という部分です。

いくら正規雇用・非正規雇用の雇用形態に関係なく、長年働いていたとしても会社が雇用保険の手続きをしていなければ被保険者にはなっていません。ですから、失業しても何も受給することができません。
そのため就職したときには、必ず雇用保険の被保険者証を確認しておくことが大切です。また、給料から雇用保険料が差しかれていることも確認しておきましょう。

ただし、誰でもが被保険者になれるわけではありません。所定労働時間が週20時間以上で尚且つ31日以上の雇用が見込まれていなければいけません。

社長や役員については、原則被保険者にはなれません。そのため、会社を廃業して失業したとしても何の保証もありませんから、社長業はつらい部分はあります。
以上です。

該当カテゴリー:雇用保険(失業保険)
関連カテゴリー:労災保険健康保険